《マメ科ハギ属 Lespedeza の メドハギ類の図入り検索表》 (08/10/30図改変) HPtop 図検索top zukensaku002
◇参考連語呂 「メドハギの、細脈空(から)なら カラ や シベリア 」 (連語呂top「メドハギ類」参照)
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
頁概要:
学名 メドハギ類解説 参考文献
(検索はABCの順に進める) (プリント用PDF→メドハギ゙類検索図) メドハギとシベリアメドハギとの雑種
(この検索は主に、H帰の記述を基にしたが、植74のサガミメドハギの記述に、「小葉の側脈が不明瞭」、「小苞が萼筒とほぼ同長」、「頂萼裂片の切れ込みが萼裂片の長さの半分より短い」、などと検索と合わない部分がある。しかし、葉表有毛で小花柄に腺毛が出るのは特徴的で、この点で他種と区別が明確にできると思われる) この頁top
《学名・文献・産地》
メドハギ Lespedeza cuneata (Dum.Cours.) G.Don (HKTH帰、全国)
ハイメドハギ Lespedeza cuneata (Dum.Cours.) G.Don var. serpens (Nakai) Ohwi (HKT、本州以南)
オオバメドハギ Lespedeza davurica (Laxm.) Schindl. (H帰、愛媛)
サガミメドハギ Lespedeza hisauchii T.Nemoto & H.Ohashi (KH帰、神奈川)
カラメドハギ Lespedeza inschanica (Maxim.) Schindl. (H帰、愛媛)
シベリアメドハギ Lespedeza juncea (L.f.) Pers. (HKH帰、群馬、東京、神奈川)
《メドハギ類の混乱の推移要約》 図top
◇1959群馬前橋産オオバメドハギはカラメドハギの誤認とされた(植74)が、更に2003にシベリアメドハギであると訂正された(植78)。
◇1930平塚産オオバメドハギは1999に日本産の新種とされサガミメドハギと命名された(植74)。
◇L.inschanica が日本にあるらしいと最初に報告したのはSchindler1913で、帰化であろうとされたが、根拠標本はメドハギとハイメドハギではないかと考えられる(植78)。
◇東京都多摩川河原採品を中井1927は L.inschanica (L.cystoides var.inschanicaとして発表)カラメドハギと名付け初めて日本自生種として報告したが、これは
L.juncea の誤同定であった(植78)。
◇奥山1938も明治18年神奈川大山採品がカラメドハギであることを報告したが、この標本も L.juncea であった(植78)。
◇L.inschanica と L.juncea は別種と考えられる(Schindler1913, Li and Chen1995,
Nemoto and Ohashi1999)(植78)。このため L.inschanica も日本の自生フロラから除外すべきものである(植78)。
◇大井1953は L.juncea を日本から報告した際に L.inschanica と L.juncea は別種であると示しながら、カラメドハギという和名を
L.juncea に使用した。L.juncea に対してはシベリアメドハギという和名を使うべきであろう(植78)。
上記を整理すると、
◇オオバメドハギ L.davurica は2001愛媛に帰化している(H帰)。(Webその他では長野、大阪で報告あるが、標本確認を要すと考える)
◇サガミメドハギ L.hisauchii は在来だが、神奈川1930以後は採集なく、絶滅した可能性が高い(K)。
◇カラメドハギ L.inschanica は愛媛に帰化している(H帰)。2003以前の報告はシベリアメドハギの可能性が高く、標本の再確認が必要である。2003以後のカラメドハギ報告は、学名が L.inschanica となっている場合、あるいはシベリアメドハギにも触れている場合には信頼できる可能性がある。(Webその他では各地に報告あるが、前記に該当しない場合は標本確認を要すと考える)
◇シベリアメドハギ L.juncea は、2003以後に採集された報告の場合は信頼できる可能性がある。2003以前の採品の場合は情報源の信頼度(保存標本があるのかなど)を考慮すべきであると思う。H帰では、在来と帰化とあるという。(07/10/9)
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
《メドハギ類観察のポイント》
メドハギは極普通に多産するので、普段植物体をよくみておく。その上で印象の異なる個体をみたときに精査する。メドハギやハイメドハギ以外では、まず葉の葉脈をみて細脈が明瞭に透視できる場合に、はじめてじっくり観察する(上側2萼裂片の切れ込み方、小花柄の長さや腺毛の有無、果実の毛の量、など)。
(尚、閉鎖花の萼裂片の脈が1本か3本かなども分類キーとされるが、毛が多くて脈は外側から確認し難く、果時に閉鎖花の果実かどうかも判り難く、果実と萼長さとの比率も果実の成長段階では使用できず、また小葉の形も色々違いを説明されているが形の表現は人により受止め方が異なり、あまり重視しない方が混乱が少ないと考える)
サガミメドハギとオオバメドハギは、現在のところほぼみることはないかも知れない。カラメドハギも現時点での確実な報告は少なく、なかなか出会うのは難しい種類と思われる。シベリアメドハギは稀ではあるが各地で確認されており、出会う可能性は十分にある。(07/10/9 山口純一)
《主な参考文献》
遠藤泰彦 2003.マメ科.千葉県の自然誌 別編4 千葉県植物誌,pp.292-311.千葉県. (略記 T)
浜口哲一 2001.ハギ属.神奈川県植物誌2001,pp.897-902.神奈川県立生命の星・地球博物館. (略記 K)
大橋広好 1982.マメ科.日本の野生植物 草本U離弁花類,pp.186-212.平凡社. (略記 H)
大橋広好 2003.マメ科.日本の帰化植物,pp.102-124.平凡社. (略記 H帰)
大橋広好 根本智行 1999.日本産マメ科ハギ属の一新種.植物研究雑誌 74:268-281. (略記 植74)
大橋広好 根本智行 2003.日本自生種と誤認されたマメ科ハギ属の2種.植物研究雑誌 78:42-47. (略記 植78)
尚、込み入った部分があり、文中に筆者の感違い間違いなどがあるかもしれませんので、お気付きの場合はご指摘いただけますよう、お願い申し上げます。
図top メドハギ類解説 この頁top
参考検索2003『ハギ属Lespedeza』(メドハギ類の部分を抜粋:Y)
◆D小葉に明らかな網状脈がある
◆E向軸側の2個の萼裂片は中央より基部側で合着し、最下の裂片は側裂片よりも長い;小苞片は萼筒よりも長い
◆F小葉の上面は無毛;小花柄に腺毛がない【オオバメドハギ】
◆F小葉の上面に短伏毛がある;小花柄に腺毛がある【サガミメドハギ】(在来)
◆E向軸側の2個の萼裂片は中央より先で合着し、最下の裂片は側裂片とほぼ同長;小苞片は萼筒と同長または短い
◆F小花柄は長さ2mm以下;小葉は楕円形〜倒卵形で、鈍頭〜円頭またはやや凹頭【カラメドハギ】
◆F小花柄は長さ(1.5)2〜6mm;小葉は狭倒卵形〜狭長楕円形で、鋭頭〜鈍頭【シベリアメドハギ】(在来・外来)
◆D小葉の網状脈は不明瞭【メドハギ】(在来・外来)
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
参考検索2001『ハギ属Lespedeza』(メドハギ類の部分を抜粋:Y)
◆A閉鎖花の萼歯は1脈があり、豆果より短い、豆果は毛がごく疎らに生える
◆B茎は直立する【メドハギ】
◆B茎は地面に倒れる【ハイメドハギ】
◆A閉鎖花の萼歯は3脈があり、豆果と同長か長く、豆果は毛が密生する【Lespedeza juncea】(和名はカラメドハギとするが、シベリアメドハギに該当すると考えられる。あるいは両者が含まれる可能性もある;Y)
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
この頁top syokubutu kensaku