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日本のシダ植物、各文献別の科属の対比》        米倉分類表・大場分類表の、従来説との違いと傾向

 シダ植物に興味を待った人々が、苦労させられるのがシダ植物の科属の取り扱いである。日本のシダ植物ほど分類体系が定まっていない植物は他に類をみない気がする。指導的文献での分類に関しての取り扱いが、各部分で大きく異なるというのが一つの要因でもある。本頁では各シダ文献類での分類体系の取扱い状況を視覚的工夫で一覧表にした。これにより、科属の移り変わりや、各文献での科属の取扱われ方がみわたせ、より全体像を理解しやすくなると思われる。加えて各文献中での分類体系での科属の取扱いに関する部分を抜書きし、その意訳を付記した。
 「科属の一覧」をみながら「付記」を読むことにより、対象科属にどのような問題があり、それに対しどのように考えて執筆者たちが分類体系の取り扱いを決めたのかが、読み取れるのではないかと考える。
 新しいシダを覚えた時や、気になる種が出現した時に、この頁を是非ご覧いただき、そのシダの周辺像を知ることにより、シダ植物に対し更なる興味を深めていただけるならば、なによりと考える。


 APGUは被子植物の分類体系であり、米倉2009と大場2009でのシダ植物は系統関係に基づく分類体系であるSmith et al.2006に準拠している(米倉p15、大場p250:小葉植物門は除く)。両書のシダ植物の科・目はほぼ同様であるが、属以下は各編著者の見解にもよって多少の違いがみられる。科・目の配列は米倉2009に従った。(2007/2/20初稿、2010/1/16新改訂,2012/10/31一部追記;山口純一)   (最初にご覧ください)この表の使用法

《目次 科・属の一覧》(分類体系の考え方で分かれる科は右横に続けて並べた。属は50音順
ヒカゲノカズラ科 ◇コスギラン属  ヒカゲノカズラ属 ヤチスギラン属
イワヒバ科 ◇イワヒバ属               ■ミズニラ科 ◇ミズニラ属
ハナヤスリ科 ■ハナワラビ科 ◇オオハナワラビ属 コブラン属 ナツノハナワラビ属 ハナヤスリ属 ハナワラビ属 ヒメハナワラビ属 ミヤコジマハナワラビ属
マツバラン科 ◇マツバラン属            ■トクサ科 ◇トクサ属
リュウビンタイ科 ◇リュウビンタイ属 リュウビンタイモドキ属   
ゼンマイ科 ◇シロヤマゼンマイ属 ◇ゼンマイ属 ◇ヤマドリゼンマイ属
コケシノブ科    
◇アオホラゴケ属 ウチワゴケ属 オニホラゴケ属 カンシノブホラゴケ属 キクモバホラゴケ属 コウヤコケシノブ属 コケシノブ属 ゼニゴケシダ属 ソテツホラゴケ属 ハイホラゴケ属 ヒメチヂレコケシノヴ属 ヒメホラゴケ属 ホソバコケシノブ属 ホソバホラゴケ属 マメゴケシダ属

ウラジロ科 ◇ウラジロ属 コシダ属
ヤブレガサウラボシ科 ■ウラボシ科(1) ■スジヒトツバ科 ◇スジヒトツバ属 ヤブレガサウラボシ属
フサシダ科 ■カニクサ科 ◇カニクサ属 カンザシワラビ属 フサシダ属 
デンジソウ科 ◇デンジソウ属          ■サンショウモ科 ■アカウキクサ科 ◇アカウキクサ属 サンショウモ属
キジノオシダ科 ◇キジノオシダ属       ■タカワラビ科 ■イノモトソウ科(1) ◇タカワラビ属     ◆へゴ科 ◇へゴ属 マルハチ属
ホングウシダ科 ■イノモトソウ科(2) ◇ゴザダケシダ属 ホラシノブ属 ホングウシダ属
コバノイシカグマ科 ■イノモトソウ科(3) ◇イワヒメワラビ属 オオフジシダ属 コバノイシカグマ属 フジシダ属 フモトシダ属 ヤンバルフモトシダ属 ユノミネシダ属 ワラビ属

イノモトソウ科(4) ■ホウライシダ科 ■ミズワラビ科シシラン科
◇イノモトソウ属 イワガネゼンマイ属 エビガラシダ属 カラクサシダ属 ギンシダ属 クジャクシダ属 シシラン属 タキミシダ属 タチシノブ属 ホウライシダ属 ミズワラビ属 ミミモチシダ属 リシリシノブ属
チャセンシダ科 ◇オオタニワタリ属 クモノスシダ属 ケホシダ属 コタニワタリ属 チャセンシダ属 ヒメタニワタリ属 ホウビシダ属

ヒメシダ科 ■オシダ科(1)
◇アミシダ属 イブキシダ属 オオハシゴシダ属 オオバショリマ属 コウモリシダ属 コバザケシダ属 シマヤワラシダ属 タイヨウシダ属 タチヒメワラビ属 テツホシダ属 ナタギリシダ属 ハシゴシダ属 ヒメシダ属 ヒメワラビ属 ホシダ属 ミゾシダ属 ミゾシダモドキ属 ミミガタシダ属 ミヤマワラビ属 

イワデンダ科 ■オシダ科(2)
◇イワデンダ属 イワヤシダ属 ウサギシダ属 ウスヒメワラビ属 オオシケシダ属 キンモウワラビ属 シケシダ属 シケチシダ属 ジャコウシダ属 テバコワラビ属 ナヨシダ属 ヌリワラビ属 ノコギリシダ属 ハンコックシダ属 ヘラシダ属 ミヤマシケシダ属 メシダ属

シシガシラ科 ◇コモチシダ属 シシガシラ属 ヒリュウシダ属
コウヤワラビ科 ■オシダ科(3) ◇クサソテツ属 コウヤワラビ属

オシダ科(4) ■ツルキジノオ科
◇アツイタ属 イノデ属 オシダ属 オリヅルシダ属 カツモウイノデ属 カナワラビ属 キョスミヒメワラビ属 キンモウワラビ属 サツマシダ属 タイワンヒメワラビ属 ナライシダ属 ナンタイシダ属 ヘツカシダ属 ホウノカワシダ属 ヤブソテツ属

ツルキジノオ科 ■ツルシダ科 ■シノブ科 ■オシダ科(5) ◇アツイタ属 タマシダ属 ツルキジノオ属 ヘツカシダ属 
ナナバケシシダ科 ■ツルシダ科 ■シノブ科 ■オシダ科(6) ◇ナナバケシダ属 ハルランシダ属 ワラビツナギ属 
ツルシダ科 ナナバケシシダ科 ■シノブ科 ■ツルキジノオ科 ◇タマシダ属 ワラビツナギ属
シノブ科 ナナバケシシダ科 ■ツルシダ科 ■ツルキジノオ科 ◇キクシノブ属 シノブ属 タマシダ属 ワラビツナギ属 

ウラボシ科(2) ■ヒメウラボシ科 
◇ヒトツバ属 ビロードシダ属 ヒトツバノキシノブ属 ノキシノブ属 マメヅタ属 オニマメヅタ属 オオボシシダ属 クラガリシダ属 イワヒトデ属 ヌカボシクリハラン属 オキナワウラボシ属 タカウラボシ属 クリハラン属 ヤノネシダ属 オキノクリハラン属 カザリシダ属 サジラン属 ミツデウラボシ属 エゾデンダ属 アオネカズラ属 ハカマウラボシ属 ヒメウラボシ属 オオクボシダ属 キレハオオクボシダ属 トラノオウラボシ属 シマムカデシダ属 チョクミシダ属 カラクサシダ属 
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(小葉類 ヒカゲノカズラ網:R)(ヒカゲノカズラ網:A)
ヒカゲノカズラLycopodiales〕
ヒカゲノカズラ科
Lycopodiaceae<RAGSNHKT>
ヒカゲノカズラ科
GSHK NT
ヒカゲノカズラ属Lycopodium<RAGSNHKT> ◆R ◆A ◆GSHK ◆NT
コスギラン属Huperzia<RNT> ◆R 同上A 同上GSHK ◆NT
ヤチスギラン属Lycopodiella<RNT> ◆R 同上A 同上GSHK ◆NT

■ヒカゲノカズラ科をRは細分してNと同様な扱いとし、AはHと同じく一属にまとめ、扱いが分かれた。
■H「ヒカゲノカズラ科などの同形胞子性の小葉植物は、Phylloglossumが単型属として識別される他は、残り全部をヒカゲノカズラ属に纏めるのが伝統的方法だった。しかしこれでは内容が非常に多様になり植物界の他と釣合いがとれないとされ、色々な細分方が提唱されている。例えば秦仁昌は日本産ではヒカゲノカズラ科とコスギラン科の2科となるが、本書は便宣上伝統的な区別に従っておく」。
■K「Ching は中国産ヒカゲノカズラ科をコスギラン科との2科に分け、コスギラン科に2属、ヒカゲノカズラ科に5属を認めた。中池は科を細分せずヒカゲノカズラ科を3属に細分した。本書はHと同様である」。
■T「ヒカゲノカズラ科は、コスギラン科とに分ける説もあるが、本書はNと同じにヒカゲノカズラ科1科で記す」。
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イワヒバSelabinellales〕
イワヒバ科
Selaginellaceae<RAGSNHKT>
イワヒバ科
RA GSNHKT
イワヒバ属Selaginella<RAGSNHKT> ◆RA ◆GSNHKT

◇H「イワヒバ属中で、葉が総て同形のコケスギラン亜属と、葉が2形を示すイワヒバ亜属を区別することがあり属の段階で分けられることもある。他にも節の段階で細分されることがあるが、いずれの分類法にも問題がある」。  この頁top

ミズニラIsoetales〕
ミズニラ科
Isoetaceae<RAGSNHKT>
ミズニラ科
RA GSNHKT
ミズニラ属Isoetes<RAGSNHKT> ◆RA ◆GSNHKT

(大葉類 ハナヤスリ群:R)(マツバラン網:A)
ハナヤスリOphioglossales〕
ハナヤスリ科
Ophioglossaceae<RAGSNHKT>
ハナヤスリ科 ハナヤスリ科
RA NT SK
ハナヤスリ属Ophioglossum<RAGSNHKT> ◆RA ◆H ◆NT ◆G ◆SK
コブラン属Ophioderma<GSK> 同上RA 同上H 同上N(×T ◆G ◆S(×K
    ハナワラビ科Botrychiaceae<GSK>
ハナワラビ属Botrychium<RAH>
オオハナワラビ属Sceptridium<GSNKT>
ハナワラビ属 オオハナワラビ属
◆RA ◆H ◆NT ◆G ◆SK
ヒメハナワラビ属Botrychium<GSNK> 同上RA 同上H ◆N(×T ◆G ◆SK
ナツノハナワラビ属Botrypus<NKT>・Japanobotrychium<GS> 同上RA 同上H ◆NT ◆G ◆SK
    ミヤコジマハナワラビ科Helminthostachyaceae<SK>
ミヤコジマハナワラビ属Helminthostachys<RASNHKT> ◆RA ◆H ◆N(×T ×G ◆SK

■H「ハナヤスリ科は3属あり、独立させる見解あるが、本書では伝統的分類系に従う」。
■K「ハナヤスリ科にハナワラビ類を科の段階で含める事があるが、ハナヤスリ類とハナワラビ類では染色体の基本数および染色体数そのものが大きく異なるので、それぞれ独立した科にすることに支障はないと考える」。
(Kの分類は基本的にはHに従うが、ハナワラビ科執筆者は染色体の数を元に、科を細分する見解をとっている)
■T「ハナヤスリ科は本書では1科として記すが、ハナヤスリ科、ハナワラビ科、ミヤコジマハナワラビ科の3科にわける説もある」。
■Gにミヤコジマハナワラビ科の記述はないが、科を細分する見解を採用している。
◇R・Aはハナワラビ属を細分せず一つにまとめHと同様な扱いとし、Nが細分して用いたヒメハナワラビ属、ナツノハナワラビ属を分けていない。

◇H「ハナワラビ属に、ヒメハナワラビ亜属、ナツノハナワラビ亜属、オオハナワラビ亜属、アリサンハナワラビ亜属(日本に分布なし)があり、それぞれ独立属とする考え方がある」。
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マツバランPsilotales〕
マツバラン科
Psilotaceae<RAGSNHKT>
マツバラン科
RA GSNHKT
マツバラン属Psilotum<RAGSNHKT> ◆RA ◆GSNHKT

(大葉類 トクサ群:R)(トクサ網:A)
トクサEquisetales〕
トクサ科
Equisetaceae<RAGSNHK>
トクサ科
RA GSNHKT
トクサ属Equisetum<RAGSNHK> ◆RA ◆GSNHK

◇H「トクサ属では、常緑性のものと夏緑性のもの2亜属(K;ミズドクサ亜属、トクサ亜属)に区別され属とされることもある」。
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リュウビンタイMarattiales〕(大葉類 リュウビンタイ群:R)(リュウビンタイ網:A)
リュウビンタイ科
Marattiaceae<RASNH> Angiopteridaceae<G>
リュウビンタイ科
RA SNH
リュウビンタイ属Angiopteris<RAGSNH> ◆RA ◆SNH ◆G
リュウビンタイモドキ属Pisana<R>・Marattia<ASNH> ◆RA ◆SNH ×G

■H「目の段階で6属あり、各属の形質が多様で内容が不均一でもあり、4科に分ける見解ある。また胞子嚢群の形質で2科に分ける見解もある。しかし石炭紀以来知られる化石でも系統的に単一な群であることがあとづけられるので、1科にしておくのが妥当といえる」。
◇H「リュウビンタイ属は、東アジアの種は秦仁昌によって多数が区別されたが、種の範囲をどう設定して良いのかよく解っていない。標本が葉の一部、熱帯林に多く広い検討が困難、毛や鱗片や胞子嚢群の構造などがこの属では役立たない、などの為に研究が遅れており、仮の分類で日本に3種を記録する」。 
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(大葉類 シダ群:R)(シダ網:A)
ゼンマイOsmundales〕
ゼンマイ科
Osmundaceae<RAGSNHKT>
ゼンマイ科
RA NHKT
ゼンマイ属Osmunda<RAGSNHKT> ◆RA ◆NHKT ◆G ◆S
ヤマドリゼンマイ属Osmundastrum<G> 同上RA 同上NHK(×T ◆G 同上S
シロヤマゼンマイ属Plenasium<GS> 同上RA 同上NH(×KT ◆G ◆S

◇Sは補遺でシロヤマゼンマイ属をゼンマイ属に合する見解ありとしている。
■H「現在のゼンマイ科にゼンマイ属を含む3属を認める分類体系と、ゼンマイ属を更に3属(ゼンマイ属、ヤマドリゼンマイ属、シロヤマゼンマイ属)に細分する分類体系とがある。本書では前者に従う」。
■T「ゼンマイ科は本書ではゼンマイ属一つに纏めるが、ゼンマイ属、ヤマドリゼンマイ属、シロヤマゼンマイ属の3属に分ける説もある」。
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コケシノブHymenophyllales
コケシノブ科
Hymenophyllaceae<RAGSNHKT>
コケシノブ科
HK SNT
アオホラゴケ属Crepidomanes<RAGSNHKT> ◆R ◆A ◆HK ◆SNT ◆G
ウチワゴケ属Gonocormus<GSNT> 同上R 同上A 同上HK ◆SNT ◆G
ヒメホラゴケ属Reediella<SN> ?R 同上A 同上HK ◆SN(×T ×G
ハイホラゴケ属Vandenboschia<RG>・Lacosteopsis<SNT> ◆R 同上A 同上HK ◆SNT ◆G
コケシノブ属・コウヤコケシノブ属
Hymenophyllum<RAGSNHKT>
コケシノブ属(*) コウヤコケシノブ属(*)
◆R ◆A ◆HK ◆SNT ◆G
コケシノブ属・ホソバコケシノブ属Mecodium<GSNT> 同上R 同上A 同上HK コケシノブ属(*) ホソバコケシノブ属(*)
◆SNT ◆G
ヒメチヂレコケシノブ属Merinqium<SN> ?R 同上A 同上H(×K ◆SN(×T ×G
マメゴケシダ属Didymoglossum<R>・Trichomanes<AHK>
ゼニゴケシダ属Microgonium<SN>
マメゴケシダ属 ゼニゴケシダ属 ×G
◆R ◆A ◆H(×K ◆SN(×T
ソテツホラゴケ属Cephalomanes<RASNH> ◆R ◆A ◆H(×K ◆SN(×T ×G
カンシノブホラゴケ属Nesopteris<SN> (Rアオホラゴケ属 同上A 同上H(×K ◆SN(×T ×G
ホソバホラゴケ属Abrodictyum<RSN> ◆R 同上A 同上H(×K ◆SN(×T ×G
オニホラゴケ属Selenodesmium<GSN> 同上R 同上A 同上H(×K ◆SN(×T ◆G
キクモバホラゴケ属Callistopteris<RGSN> ◆R 同上A 同上H(×K ◆SN(×T ◆G

■日本のコケシノブ科は、Aは4属としてHと同様な扱いとした。Nは細分して13属としており、Rは7属として中間的である。
■G「コケシノブ科は、包膜が2弁状かコップ状かで分けられるのが普通であったが、詳しく検討するとこの区別は人為的なものであり、系統関係を正しく表現してはいない。未研究の形質も多く、正しい系統分類は完成されておらず、現在までの分類報告の中で一番弊害が目立たないという、消極的な理由から、Copeland 1947 の分類に従っておくが、日本産では矛盾が無いように思われる」。
■H「コケシノブ科は胞子嚢群の形状によって2分する分類系と、科の多様性に応じて細分する分類系があり、最近は細分論が多かったが、本書は筆者が提唱した8属に分類する体系に従い記述する」。
■Kは日本にコケシノブ科4属としHに準じている。
◇Nは、Hymenophyllum(コウヤコケシノブ属)とMecodium(コケシノブ属)を分けているが、HはHymenophyllum(コケシノブ属)としてまとめており、R・AはHと同様な扱いとしている。
◇(*):コケシノブ属の学名は横並びで同一であるが、和名が入れ違っている関係となっている。
◇K「日本にあるコケシノブ属は Copeland は3亜属に分け、細分する場合は属として扱い、コウヤコケシノブ属、コケシノブ属、ヒメチヂレコケシノブ属とに細分されるが、本書ではコケシノブ属として扱う」。
◇H「日本のアオホラゴケ属を細分すると、偽脈のあるアオホラゴケ属、裂片の辺縁に特別に長く伸びる細胞のあるヒメホラゴケ属、それ以外のハイホラゴケ属とウチワゴケ属が含まれる」。
◇K「日本にあるアオホラゴケ属は Copeland は3亜属に分け、細分する場合は属として扱い、ウチワゴケ属、ハイホラゴケ属、アオホラゴケ属とに細分されるが、本書ではアオホラゴケ属として扱う」。
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ウラジロGleicheniales〕
ウラジロ科
Gleicheniaceae<RAGSNHKT>
ウラジロ科
SHK NT
コシダ属Dicranopteris<RAGSNHKT> ◆R ◆A ◆SHK ◆G ◆NT
ウラジロ属Gleichenia<AGSNHKT>・Diplopterygium<R> ◆R ◆A ◆SHK ◆G ◆NT

ヤブレガサウラボシ科
Dipteridaceae<RASH>
ヤブレガサウラボシ科 ヤブレガサウラボシ科 ウラボシ科(1)Polypodiaceae
SHK NT
ヤブレガサウラボシ属Dipteris<RASNH> ◆R ◆A ◆SHK ×G ◆N(×T
    スジヒトツバ科Cheiropleuriaceae<GSHK>  
スジヒトツバ属Cheiropleuria<RAGSNH> ◆R ◆A ◆SH(×K ◆G ◆N(×T

■R「ヤブレガサウラボシ科とスジヒトツバ科は互いに近縁で、ウラジロ科に近いことがわかり、ウラジロ目にまとめられた」。 
■日本のウラジロ目を、R・Aはウラジロ科とヤブレガサウラボシ科の二科とし、Hで分けられているスジヒトツバ科はヤブレガサウラボシ科に含められた。
■Nはヤブレガサウラボシ属とヒトツバ属をウラボシ科として扱っている。 
■Nのウラボシ科は、Hのヤブレガサウラボシ科・スジヒトツバ科・ヒメウラボシ科・ウラボシ科に細分されており、本頁ではウラボシ科(1)〜(2)に表が分かれる。
■Tは日本のウラボシ科23属、県内7属としてNに準じている。

◇H「ウラジロ科の属の分類もいろいろ説があったが、ウラジロ属とコシダ属とは大方がその範囲を認めるようになった」。
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フサシダSchizaeales〕
フサシダ科Schizaeaceae<RAGHKT> フサシダ科 フサシダ科 カニクサ科Schizaeaceae<SN>
HKT
フサシダ属Schizaea<RSH>・Actinostachys<A> ◆R ◆A ◆H(×KT ×G (Nカンザシワラビ属 ◆S
カンザシワラビ属Schizaea<AN> 同上R ◆A 同上H(×KT ×G ◆N 同上S

カニクサ科Lygodiaceae<RA> カニクサ科 フサシダ科 カニクサ科Schizaeaceae<SN>
HKT
カニクサ属Lygodium<RAGSNHKT>               ◆R ◆A ◆HKT ◆G ◆N ◆S

■日本のフサシダ目をR・Aはフサシダ科とカニクサ科の二科として扱っている。従来N・Hは一科としてまとめていた(Hフサシダ科、Nカニクサ科)。
◇日本のフサシダ目をRはSchizaea(フサシダ属)とLygodium(カニクサ属)の二属とし、N・Hの扱いと同様である(NはSchizaeaカンザシワラビ属)。Aはフサシダ科をActinostachys(フサシダ属)とSchizaea(カンザシワラビ属)に分け、カニクサ科のLygodium(カニクサ属)と合わせ三属とし、扱いが分かれた。
■S「カニクサ科・フサシダ科・アネミア科の3科に分けることがある」。
■T「フサシダ科は、蔓状のカニクサ属と、直立するフサシダ属など多様である。研究者によってはフサシダ科、アネミア科、カニクサ科の3つに分ける場合があり、その場合は日本にフサシダ科カニクサ科が分布する」。
■H「フサシダ科は4属あり(日本2属)、栄養器官の性質ではっきり異なっているため、独立した科とする意見もある。また属をさらに細分する分類系がとられることもある」。
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デンジソウMarsileales<R;サンショウモ目Salviniales<A〕
デンジソウ科
Marsileaceae<RAGSNHKT>
デンジソウ科
RA GSNHKT
デンジソウ属Marsilea<RAGSNHKT> ◆RA ◆GSNHKT

サンショウモ科
Salviniaceae<RAGSNHKT>
サンショウモ科 サンショウモ科
RA NT GSHK
サンショウモ属Salvinia<RAGSNHKT> ◆RA ◆NT ◆GSHK
    アカウキクサ科Azollaceae<GSHK>
アカウキクサ属Azolla<RAGSNHKT> ◆RA ◆NT ◆GSHK

■日本のデンジソウ目をR・Aはデンジソウ科とサンショウモ科の二科とし、Nと同様な扱いをしている。Hはアカウキクサ科を加え三科としていた。
■G「デンジソウ科はフサシダ科に系統関係があると考える人もいる」。
■G「サンショウモ科はコケシノブ科に系統関係があると考える人もいる」。
■G「サンショウモ科はアカウキクサ科と近縁であることは広く認められている」。
◇G「サンショウモ属とアカウキクサ属も、それぞれ別科に分ける方がよい」。   この頁top


ヘゴCyatheales〕
キジノオシダ科
Plagiogyriaceae<RAGSNHKT>
キジノオシダ科
RA GSNHKT
キジノオシダ属Plagiogyria<RAGSNHKT> ◆RA ◆GSNHKT

タカワラビ科
Cibotiaceae<RA> Dicksoniaceae<SH>
タカワラビ科 イノモトソウ科(1)Pteridaceae
RA SH GN
タカワラビ属Cibotium<RAGSNH> ◆RA ◆SH ◆GN

へゴ科
Cyatheaceae<RAGSNH>
へゴ科
RA S1NH S2
へゴ属Cyathea<RAGSNH>・Alsophila<S2> ◆RA ◆S1NH ◆G ◆S2
マルハチ属Sphaeropteris<S2> 同上RA 同上S1NH ×G ◆S2

■Nのイノモトソウ科は、R・Aではタカワラビ科・ホングウシダ科・コバノイシカグマ科・イノモトソウ科に細分されており、Hではタカワラビ科・ホングウシダ科・コバノイシカグマ科・イノモトソウ科・ホウライシダ科に細分されている。本頁では(1)〜(4)に表が分かれる。
■G「Copelandのイノモトソウ科を、タカワラビ科・コバノイシカグマ科、ホングウシダ科・イノモトソウ科・ホウライシダ科の5科に分けるのが最も穏健な処置であろう」。
■G「斜めに完全な環帯をもつ大形シダを、長くヘゴ科としてきたが、Copeland はタカワラビ類をイノモトソウ科に入れ、胞子嚢群が葉脈の背側につき、茎に毛または鱗片のあるものをヘゴ科とした。しかし彼のヘゴ科からは、茎に毛のみある2属(日本に無い)を別科として分ける方が良い。茎に鱗片のある残りのヘゴ科は、ヘゴ属(皿状から嚢状の包膜)、Hemitelia属(胞子嚢床の基部後ろ側に小さな鱗片状の包膜)、マルハチ属(包膜がない)の3属に長い間分類されてきたが、これはあまりに人為的であり不自然で、近年はヘゴ属一つに纏める人が多い。ところが Copeland は残りのヘゴ属を、ヘゴ属やチャボヘゴ属と他3属とで計5属に分けている。他の3属は特徴があり纏まっていて属として問題ない。しかしヘゴ属とチャボヘゴ属とでは、葉柄や中軸の色艶、葉の裂片側脈の分岐の有無、包膜の有無などの違いはあるが、こんな特徴だけでは属としての差を認めがたい」。

■S補遺「ヘゴ科は最近の研究により邦産はマルハチ属とヘゴ属に分ける」。
■H「ヘゴ科の分類では、胞子嚢群が脈に頂生し葉縁につき、葉に毛があり鱗片のないタカワラビ科を、含める考えと含めない考えがある」。
■H「東アジアのヘゴ科の種は、Holttum により詳しく研究され、日本の種と近縁なものも見当がつく程になってきた」。

◇Nはタカワラビ属をイノモトソウ科においているが、R・Aはタカワラビ属をHと同様にタカワラビ科として扱っている。  この頁top


ウラボシ目Polypodiales〕(01)
ホングウシダ科
Lindsaeaceae<RAHK>
ホングウシダ科 イノモトソウ科(2)Pteridaceae
RA HK GSNT
ホングウシダ属Lindsaea<RAGSNH> ◆RA ◆H(×K ◆GSN(×T(*)
ホラシノブ属Sphenomeris<RAGSNHKT> ◆RA ◆HK ◆GSNT
ゴザダケシダ属Tapeinidium<RASNH> ◆RA ◆H(×K ◆SN(×GT

■ホングウシダ科は、Nはイノモトソウ科に含めているが、R・AはHと同様にホングウシダ科として取り扱っている。
■Nのイノモトソウ科は、R・Aではタカワラビ科・ホングウシダ科・コバノイシカグマ科・イノモトソウ科に細分されており、Hではタカワラビ科・ホングウシダ科・コバノイシカグマ科・イノモトソウ科・ホウライシダ科に細分されている。本頁では(1)〜(4)に表が分かれる。

■G「Copelandのイノモトソウ科を、タカワラビ科・コバノイシカグマ科、ホングウシダ科・イノモトソウ科・ホウライシダ科の5科に分けるのが最も穏健な処置であろう」。
■Tは県内のイノモトソウ科は10属としNに準じているている。
■Kは日本にホングウシダ科3属としH・Nに準じている。
◇(*):Sのホングウシダ属は本文ではエダウチホングウシダ属。

ウラボシ目Polypodiales〕(02)
コバノイシカグマ科Dennstaedtiaceae<RASHK> コバノイシカグマ科 イノモトソウ科(3)Pteridaceae
RA HK NT GS
コバノイシカグマ属Dennstaedtia<RAGSNHKT> ◆RA ◆HK ◆NT ◆GS
フモトシダ属Microlepia<RAGNHKT> ◆RA ◆HK ◆NT ◆GS
ヤンバルフモトシダ属Scypholepis<S> 同上A 同上H 同上N (×T ◆S(×G
イワヒメワラビ属Hypolepis<RAGSNHKT> ◆RA ◆HK ◆NT ◆GS
ワラビ属Pteridium<RAGSNHKT> ◆RA ◆HK ◆NT ◆GS
ユノミネシダ属Histiopteris<RAGSNH> ◆RA ◆H(×K ◆N(×T ◆GS
オオフジシダ属Monachosorum<RAGSNHKT> ◆RA ◆H(×K ◆N(×T ◆GS
フジシダ属Ptilopteris<GSN> 同上RA 同上H(×K ◆N(×T ◆GS

■Hでコバノイシカグマ科としたものは、Nではイノモトソウ科に含められていたが、R・AはHと同様にコバノイシカグマ科として取り扱っている。 
■Nのイノモトソウ科は、R・Aではタカワラビ科・ホングウシダ科・コバノイシカグマ科・イノモトソウ科に細分されており、Hではタカワラビ科・ホングウシダ科・コバノイシカグマ科・イノモトソウ科・ホウライシダ科に細分されている。本頁では(1)〜(4)に表が分かれる。
■Kは日本にコバノイシカグマ科6属としHに準じている。Tは県内のイノモトソウ科は10属としNに準じているている。
G「Copelandのイノモトソウ科を、タカワラビ科・コバノイシカグマ科、ホングウシダ科・イノモトソウ科・ホウライシダ科の5科に分けるのが最も穏健な処置であろう」。
◇Nはフジシダ属をオオフジシダ属と分けているが、Hはオオフジシダ属に含めており、R・AはHと同じ取り扱いをしている。
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ウラボシ目Polypodiales〕(03)
イノモトソウ科Pteridaceae<RAGSNHKT> イノモトソウ科 イノモトソウ科 イノモトソウ科(4)
GSNT
イノモトソウ属Pteris<RAGSNHKT> ◆R ◆A ◆H ◆K ◆GSNT
ミミモチシダ属Acrostichum<RASNH> ◆R ◆A ◆H ×K ◆SNT(×GT
    ホウライシダ科Parkeriaceae<HK>  
ホウライシダ属 クジャクシダ属
Adiantum<RAGSNHKT>
ホウライシダ属 クジャクシダ属 クジャクシダ属(*)
◆R ◆A ◆H ◆K GSNT
エビガラシダ属Cheilanthes<RAGSNHKT> ◆R広義 ◆A ◆H ◆K ◆GSN(×T
イワガネゼンマイ属Coniogramme<RAGSNHKT> ◆R ◆A ◆H ◆K ◆GSNT
リシリシノブ属Cryptogramma<RAGSNH> ◆R ◆A ◆H ×K ◆GSN(×T
タチシノブ属Onychium<RAGSNHKT> ◆R ◆A ◆H ◆K ◆GSNT
ギンシダ属Pityrogramma<RASNH> ◆R ◆A ◆H ×K ◆SN(×GT
      ミズワラビ科Parkeriaceae<GSNT>
ミズワラビ属Ceratopteris<RAGSNHKT> ◆R ◆A ◆H ◆K ◆GSNT
    シシラン科Vittariaceae<GSNHKT> シシラン科
タキミシダ属Antrophyum<RAGSNHKT> ◆R ◆A ◆H ◆K ◆GSNT
シシラン属Vittaria<AGSNHKT>・Haplopteris<R> ◆R ◆A ◆H ◆K ◆GSNT
  ウラボシ科 ホウライシダ科 イノモトソウ科
カラクサシダ属Pleurosoriopsis<RAGSNHKT> ◆R ◆A ◆H ◆K ◆GSNT(*)

■Nのイノモトソウ科は、R・Aではタカワラビ科・ホングウシダ科・コバノイシカグマ科・イノモトソウ科に細分されており、Hではタカワラビ科・ホングウシダ科・コバノイシカグマ科・イノモトソウ科・ホウライシダ科に細分されている。本頁では(1)〜(4)に表が分かれる。
■G「Copelandのイノモトソウ科を、タカワラビ科・コバノイシカグマ科、ホングウシダ科・イノモトソウ科・ホウライシダ科の5科に分けるのが最も穏健な処置であろう」。
■G「イノモトソウ科とオシダ科は最も大きな問題の多い大きな科であり、一時のまにあわせに Copeland にそのまま従っておいたが、Copeland のイノモトソウ科は、共通の起源をもつと考えられる幾つかの系統群を一つに纏めたため、余りにも内容が広すぎて纏まりがない。これを避けるには系統に即した幾つかの科に分ければ良いが、詳しく研究がされていない属が多く、一般に認められるような分類系はない」。
■S補遺「イノモトソウ科を、イノモトソウ科、クジャクシダ科、リシリシノブ科、イワヒメワラビ科、コバノイシカグマ科、イワガネソウ科、フジシダ科、ホングウシダ科、などに細別する見解がある」。
■K「イノモトソウ科には、コバノイシカグマ科、ホングウシダ科、ホウライシダ科も含めて、広義のイノモトソウ科とする見解もある」。
■Kは日本のイノモトソウ科2属とし、上記属と考えられる。Kは日本でホウライシダ科8属としてHに準じている。Tは県内のイノモトソウ科は10属としNに準じているている。

■H・Nでのシシラン科は、R・Aではイノモトソウ科に含まれている。
■Hでのホウライシダ科は、R・AではNと同様にイノモトソウ科に含まれている。
■Nでのミズワラビ科は、Hではホウライシダ科に含まれたが、R・Aではイノモトソウ科に含まれている。
■H「ミズワラビ属を単形科としてミズワラビ科に独立させる意見もある。ミズワラビは水生という生育環境に適応して特異化した形質をいくつかもっているが、広義にみてホウライシダ科の一群であり疑う余地がない」。
■R「カラクサシダ属は、従来イノモトソウ科またはホウライシダ科に含められることが多かったが、ウラボシ科に含めるべきということが判明した」。
■カラクサシダ属は、従来Nではイノモトソウ科、Hではホウライシダ科とされたが、R・Aではウラボシ科として扱われている。
■H「カラクサシダ属は小型の為、チャセンシダ科、シシラン科などいろいろ意見があるが、ホウライシダ科に置くのが妥当であろう」。
◇(*):Sのクジャクシダ属は補遺でクジャクシダ科の見解があるとしており、また検索表ではホウライシダ属とされている。Sのカラクサシダ属はカラクサシダ科の見解があるとしている。
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■G「タカワラビ科はヘゴ科といっしょにされていることが多いが、毛のみあり鱗片がなく、胞子嚢群が葉縁につくことによりヘゴ科と大きく異なる」。
■S「タカワラビ科は学者によってヘゴ科に入れたりイノモトソウ科に入れたりされた」。
■H「タカワラビ科とヘゴ科は同じ系統に属すると見るほうが妥当だとする説がある」。

■H「ホングウシダ科はスイスの K.U.Kramer によって世界中の種が詳しく研究され、本書も大筋はその成果により纏め、その後の知見で修正をした」。
■H「本書はホウライシダ科を比較的広くとっている。Gでのホウライシダ科に細分される部分とミズワラビ科を合一した部分に相当する」。
■H「本書のホウライシダ科は、最も細分している秦任昌の分類系の6科(日本でのエビガラシダ属、リシリシノブ属、タチシノブ属、ホウライシダ属、ミズワラビ属、イワガネゼンマイ属、ギンシダ属、カラクサシダ属などを含む)に相当する」。

■G「ワラビ属とユノミネシダ属は、胞子嚢群を重くみるとイノモトソウ科に入るが、栄養器官の形質を考慮するとコバノイシカグマ科に入る」。
■G「オオフジシダ属は、根茎が放射状に構成され、葉が螺旋状につく点に難色があるが、コバノイシカグマ科に入れて差し支えない」。
◇H「オオフジシダ属は根茎の解剖学的性質などを指標にコバノイシカグマ科から区別する考えがあり、独立の科とすることもある。また葉の分岐の程度などによって、単型属のフジシダ属を認めることもある」。
◇S「イワガネゼンマイ属の内、葉脈の結合するものをイワガネソウ属 Notogramme とする学者がある」。
◇G「エビガラシダ属はヒメウラジロ属との2属に Copeland や秦仁昌は分けるが、もう少し明らかになるまで従来どおりエビガラシダ1属としておく」。
◇H「エビガラシダ属のうち、葉裏に粉白があり白や黄色になるものをヒメウラジロ属とすることがある」。
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ウラボシ目Polypodiales〕(04)
チャセンシダ科
Aspleniaceae<RAGSNHKT>
チャセンシダ科
HS2 NT S1
チャセンシダ属Asplenium<RAGSNHKT> ◆R ◆A ◆HS2 ◆K ◆NT ◆G ◆S1
オオタニワタリ属Neottopteris<S> 同上R 同上A 同上HS2 ×K 同上N(×T 同上G ◆S1
クモノスシダ属Camptosorus<GSNT> 同上R 同上A 同上HS2 同上K ◆NT ◆G ◆S1
コタニワタリ属Phyllitis<GSNT> 同上R 同上A 同上HS2 同上K ◆NT ◆G ◆S1
ホウビシダ属Hymenasplenium<RSNKT> ◆R 同上A 同上HS2 ◆K ◆NT (Gチャセンシダ属 ◆S1
ヒメタニワタリ属Boniniella<S> 同上R 同上A 同上HS2 ×K (Nチャセンシダ属(×T ×G ◆S1

■Hはチャセンシダ科をチャセンシダ属一つにまとめたが、Aも同じ扱いとした。Nは細分して4属として扱ったが、RはKと同様にホウビシダ属を分けてチャセンシダ属と二属として扱っている。
■S補遺「チャセンシダ科は初版では日本産を6属に分けたが、近年一括してチャセンシダ属1つにする見解がある」。
■H「チャセンシダ科は研究が遅れている。特定の形質を指標にして属が幾つか識別されるが、どの分類が正しいか確かではない。本書では総てチャセンシダ属とし亜属や節で区別されるものは種の項で述べる。ホウビシダ類は属で区別するのが正しいかも知れない」。
■K「チャセンシダ科は属の段階で諸説があり、Hはホウビシダ類を属とすることを保留し、本科の総ての種をチャセンシダ属に入れた。本書では中池らの考えに従い、ホウビシダ属を区別して、本科をチャセンシダ属とホウビシダ属の2属として扱った」。

◇G「オオタニワタリ群の分類にはよくわからない点が多いから、学名なども決定的ではない」。
◇S「オオタニワタリ属はチャセンシダ属に合する学者もある」。
◇H「チャセンシダ属で、葉縁に沿った脈で側脈の先端を連ねる特殊な網状脈を指標にオオタニワタリ属として区別することがある。この類はチャセンシダ類と異なった点も多いが、属全体がもう少し研究されるまでチャセンシダ属を広義にとっておきたい」。
◇H「根茎の構造と単葉で全縁を指標に、ヒメタニワタリ属がたてられたが、この形質で属の区別をすることは難しい。染色体数や根茎の構造などが示唆するようにホウビシダ類と類縁の近さが示唆される」。
◇S「クモノスシダ属はチャセンシダ属とする学者がいる」。
◇H「遊離脈をもたない網状脈を指標にクモノスシダ属が識別されたが、両種ともチャセンシダ属の他種と交雑することなどから、チャセンシダ属のものであることが推定できる」。
◇T「クモノスシダ属はチャセンシダ属との間で雑種をつくる。本属をチャセンシダ属として扱う場合もある」。
◇クモノスシダ属とコタニワタリ属は、チャセンシダ属との間で雑種が出来ることから、チャセンシダ属に含まれるべきと考える。Kの判断が妥当であろう。
◇H「チャセンシダ属にはコタニワタリの様に胞子嚢群のつき方が特殊なものがあり、これらをコタニワタリ属とすることがある」。
◇T「コタニワタリ属はチャセンシダ属に含める考えもあるが、本書では分離してコタニワタリ属を採用した」。

◇S「ホウビシダ属は学者によりチャセンシダ属に合する」。
◇H「ウスバクジャクなどのホウビシダの類は、ホウビシダ属として独立させるのが正しいだろう。ただしアフリカの熱帯にも類似種が多くあり、その研究が進むまで結論を待ちたい」。
◇T「ホウビシダ属は根茎が背腹性をもつことによりチャセンシダ属から区別される」。
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ウラボシ目Polypodiales〕(05)
ヒメシダ科
Thelypteridaceae<RAHK>
ヒメシダ科 オシダ科(1)
Dryopteridaceae
オシダ科Aspidiaceae<GS12>
HK NT S1 S2
ミゾシダ属・アミシダ属
Stegnogramma<RAHK>・Leptogramma<GSNT>
アミシダ属 ミゾシダ属 ミゾシダ属 ミゾシダ属
◆R ◆A ◆HK ◆NT ◆G ◆S1 ◆S2
アミシダ属Dictyocline<GSN> 同上R 同上A 同上H(×K ◆N(×T ◆G ◆S1 ◆S2
ヒメシダ属Thelypteris<RASNHKT> ◆R ◆A ◆HK ◆NT (オオバショリマ属 ◆S1 ◆S2
オオバショリマ属Lastrea<GN>・Oreopteris<S2> 同上R 同上A 同上HK ◆N(×T ◆G 同上S1 ◆S2
シマヤワラシダ属Metathelypteris<NT> 同上R 同上A 同上HK ◆NT 同上G 同上S1 同上S2
ヒメワラビ属Macrothelypteris<NT> 同上R 同上A 同上HK ◆NT 同上G 同上S1 同上S2
オオハシゴシダ属Coryphopteris<N> 同上? 同上A 同上H(×K ◆N(×T 同上G 同上S1 同上S2
ハシゴシダ属Parathelypteris<NT> 同上? 同上A 同上HK ◆NT 同上G 同上S1 同上S2
タイヨウシダ属Glaphyropteridopsis<N> 同上? 同上A 同上H(×K ◆N(×T 同上G 同上S1 同上S2
イブキシダ属Pseudocyclosorus<NT> 同上R 同上A 同上HK ◆NT 同上G 同上S1 同上S2
ミゾシダモドキ属Cyclogramma<S2NT> 同上R 同上A 同上H(×K ◆NT 同上G 同上S1 ◆S2
ミヤマワラビ属PhegopterisGSNT> 同上R 同上A 同上HK ◆NT ◆G ◆S1 ◆S2
タチヒメワラビ属・ミミガタシダ属
Pseudophegopteris<S2N>
同上? 同上A 同上HK タチヒメワラビ属 同上G 同上S1 ミミガタシダ属
◆N(×T ◆S2
ナタギリシダ属Pneumatopteris<N> 同上? 同上A 同上H(×K ◆N(×T ×G ×S1 ×S2
ケホシダ属Christella<NT>
ホシダ属Cyclosorus<GS>
同上R 同上A 同上HK ケホシダ属 ホシダ属
◆NT ◆G ◆S1 ◆S2
テツホシダ属Cyclosorus<N> 同上? 同上A 同上H(×K ◆N(×T 同上G 同上S1 同上S2
コバザケシダ属Sphaerostephanos<N> 同上? 同上A 同上H(×K ◆N(×T ×G 同上S1 同上S2
コウモリシダ属
Pronephrium<SN>・Abacopteris<G>
同上R 同上A 同上H(×K ◆N(×T ◆G ◆S1 ◆S2
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■Hでヒメシダ科としたものは、Nではオシダ科として扱われているが、R・AはHと同様にヒメシダ科として扱っている。 
■Nのオシダ科は、ヒメシダ科・イワデンダ科・コウヤワラビ科・オシダ科・ツルキジノオシダ科・ナナバケシダ科に細分されており、本頁では(1)〜(6)に表が分かれる。
■R・Aは日本のヒメシダ科をHと同様に二属として扱うが、Nは細分してオシダ科の中で18属に分けて扱っている。
■KはHに従い2属とする。Tは日本のオシダ科51属とし、県内25属としNに準ずる。
■G「オオバショリマ属、ミヤマワラビ属、ミゾシダ属、ホシダ属、コウモリシダ属、アミシダ属などは比較的纏まった群であるから、これらをヒメシダ科にしようという考えが Holttum により提唱され、分析の資料からも支持されている。しかし未知の形質が多い現在では、機械的な現在の分類法に従っておかざるを得ない」。
■S補遺「オシダ科を、メシダ科・オシダ科・コウヤワラビ科・ヒメシダ科・ツルキジノオ科に細分する見解がある」。
■H「ヒメシダ科の分類系としては、Holttum による26属の分類が最新で詳細にわたる。しかし筆者は属を細分するより、専門家向けには亜属や節の分類を詳細にし、学名に関わる属は少ない方がよいと考え、1964に発表した3属(日本2属)の体系によって科をまとめた」。
■H「ヒメシダ科はウラジロ科からヒメウラボシ科と並行して導かれたとする考えがあるが、毛などを重視したもので実証性に欠ける。解剖学的性質の類似から、イワデンダ科の隣に置かれるが、これも仮の解決策である」。
■K「ヒメシダ科は、本書はHに従ったが、イワデンダ科を含めてオシダ科とする見解もある」。

◇H「ミゾシダ属について Holttum は、ヒメシダ属を広義に設定するならば、ミゾシダ属が特にかけ離れたものとみなす根拠は乏しいとの見解であるが、葉面の構成と毛の性質に基づいて、本書ではミゾシダ属だけを独立に取り扱う分類を採用する。かってはミゾシダ属、ステグノグランマ属、アミシダ属は独立の属とされ、これら3属が近縁であることは大方の認めるところである」。
◇K「K88ではミゾシダ属をアミシダ属などと共に3属に細分する見解をとったが、今回本書はHに従いミゾシダ属として記した」。
◇S「アミシダ属は学者によりミゾシダ属に合する」。
◇RはStegnogrammaをアミシダ属と称している。AはHと同様にミゾシダ属と称し呼称が分かれた。Nはミゾシダ属Leptogrammaとする。
◇S「ヒメシダ属は細分する場合もあり、また反対にコウモリシダ属、ホシダ属、ミヤマワラビ属、なども合併する学者があり、学説は正しいかも知れないが大所帯となってしまうので、切り離して書く」。
◇K「K88ではヒメシダ属を中池に従い、ヒメシダ属、ミヤマワラビ属、タチヒメワラビ属、ホシダ属の4属に分けたが、今回本書はHに従いすべてヒメシダ属として扱った。Holttum 1971の細分する分類体系では、県産品は、ケホシダ属、オオバショリマ属、ヒメワラビ属、シマヤワラシダ属、ハシゴシダ属、ミヤマワラビ属、イブキシダ属、タチヒメワラビ属、ヒメシダ属がある」。

◇G「オオバショリマ属とホシダ属については、Cning 、 Copeland 、 Holttum らの定義は葉脈の様式だけで区別している。Christensen は最下の葉脈が裂片の間の薄膜に届くものも加える方が妥当だとする。もしこれによればミゾシダモドキやイブキシダはどちらになるのか判定は困難だし、タイヨウシダはホシダ属となる。ヒメシダ群の多くの種類の系統的中心とも考えられる種類を、この様な定義で2分しようとするところに無理がある。オオバショリマ属、ホシダ属の枠を一旦取払って、別の見地から再編成しなければならぬものであろう。オオバショリマ属とホシダ属の関係は、ミゾシダ属にも同様な問題があり、アミシダ属の存在も考え合わせてみると、再編成した群のいくつかとの系統関係は、再検討されねばならないものである」。
◇S補遺「オオバショリマ属は葉に多細胞毛があり、包膜が不整の心形になることで、ヒメシダ属と異なる」。

◇S補遺「ミゾシダモドキ属を、ヒメシダ属から独立する」。
◇S「ミヤマワラビ属は学者によりヒメシダ属に合す」。
◇S「ホシダ属は、尖った長細胞の毛があってヒメシダ属に近似するが、しかし葉脈は下部1〜3対の小脈が結合する点が特徴である」。
◇S「ホシダ属はヒメシダ属に合する学者もいる。また更に数属に細別する見解もあり、その場合はテツホシダが本属に残る」。

◇ホシダ属とコウモリシダ属でも雑種が知られる。 
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ウラボシ目Polypodiales〕(06)
イワデンダ科
Woodsiaceae<RAHK>
イワデンダ科(1) オシダ科(2)
Dryopteridaceae
オシダ科
Aspidiaceae<GS>
K NT S2 S1
イワデンダ属
Woodsia<RAGSNHKT>
◆R ◆A ◆H ◆K ◆NT ◆S2 ◆S1 ◆G
ウスヒメワラビ属
Acystopteris<RAGSNHK>
◆R ◆A ◆H ◆K ◆N(×T ◆S2 ◆S1 ◆G
ウサギシダ属
Gymnocarpium<RAGSNHK>
◆R ◆A ◆H ◆K ◆N(×T ◆S2 ◆S1 ◆G
ナヨシダ属
Cystopteris<RAGSNH>
◆R ◆A ◆H ×K ◆N(×T ◆S2 ◆S1 ◆G
メシダ属
Athyrium<RAGSNHKT>
◆R ◆A ◆H ◆K ◆NT ◆S2 ◆S1 ◆G
テバコワラビ属
Pseudocystopteris<S2>
同上R 同上A 同上H 同上K 同上N(×T ◆S2 同上S1 同上G
オオシケシダ属・シケシダ属
Deparia<RAS2NHKT>

ミヤマシケシダ属Lunathyrium<S1>
オオシケシダ属 シケシダ属 シケシダ属 ミヤマシケシダ属  
◆R ◆A ◆H ◆K ◆NT ◆S2 ◆S1 同上G
シケチシダ属
Cornopteris<RAGSNHKT>
◆R ◆A ◆H ◆K ◆NT ◆S2 ◆S1 ◆G
ノコギリシダ属・ヘラシダ属
Diplazium<RAGSNHKT>
ノコギリシダ属 ヘラシダ属 ノコギリシダ属 ヘラシダ属 ヘラシダ属
◆R ◆A ◆H ◆K ◆NT ◆S2 ◆S1 ◆G
ヌリワラビ属
Rhachidosorus<RS>
◆R 同上A 同上H 同上K 同上NT ◆S2 ◆S1 同上G
イワヤシダ属
Diplaziopsis<RGS2NT>
◆R 同上A 同上H ×K ◆NT ◆S2 (S1ヘラシダ属 ◆G
ジャコウシダ属
Dictyodroma<S2N>
(Rオオシケシダ属 同上A 同上H ×K ◆N(×T ◆S2 同上S1 ×G
ハンコックシダ属
Monomelangium<SN>
?R 同上A 同上H ×K ◆N(×T ◆S2 ◆S1 ×G
キンモウワラビ属 (#)
Hypodematium<RAGSNH>
◆Rオシダ科 ◆A ◆H ×K ◆N(×T ◆S2 ◆S1 ◆G

■Nのオシダ科は、ヒメシダ科・イワデンダ科・コウヤワラビ科・オシダ科・ツルキジノオシダ科・ナナバケシダ科に細分されており、本頁では(1)〜(6)に表が分かれる。
■Hでイワデンダ科とされたものは、R・Aではコウヤワラビ科が分離され、本頁では(1)〜(2)に表が分かれる。
■Hでイワデンダ科とされたものを、Nはオシダ科として扱うが、R・AはHと同様にイワデンダ科として扱っている。
■H「イワデンダ科は命名規約上から耳慣れないが、一般にいうメシダ科と同内容である。属の分類は加藤雅啓の研究によった。胞子嚢群の構造の類似からチャセンシダ科と混同されることもあったが、表面的なことである。葉の構成などはヒメシダ科と良く似るが、毛状体の性質は異なる。オシダ科とも似ている点があり、これらの科と並行して進化してきた大きな科の一つとみなせる」。
■Kは、イワデンデンダ科は日本に11属としており、クサソテツ属・コウヤワラビ属を除くと、キンモウワラビ属とナヨシダ属を認識しているものと考えられる。Tは日本のオシダ科51属とし、県内25属としNに準ずる。
■コウヤワラビ科を除いた日本のイワデンダ科をHは9属として分けているが、AはHと同様な扱いとしている。
Rは10属として分けているが、Aとの違いはヌリワラビ属とイワヤシダ属を区別し、キンモウワラビ属を暫定的にオシダ科に含めている。Nはオシダ科の中で12属に分けて扱っている。
◇(#):R「キンモウワラビ属の正確な系統的位置は今なお不明だが、少なくともイワデンダ科よりもオシダ科に近いことは確かなので、暫定的にオシダ科に含めて扱われている」。
◇S「キンモウワラビ属は古くはオシダ属に入れられたが系統的に全く違う」。

◇ヌリワラビ属のヌリワラビは、最近の遺伝子分析による研究(佐野2000)で、Chingが命名したヌリワラビ属 Rhachidosorusが正しいとされる結果が出たとのことである。
 
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◇S「ヌリワラビ属は、柄の鱗片が透明でヘラシダ属やメシダ属とは異なり別属になる。チャセンシダ科と維管束が異なり、オシダ科のものである」。
◇K「メシダ属に従来入れられていたヌリワラビを、加藤1975に従いノコギリシダ属に変更した」。

◇H「クサソテツ属はコウヤワラビ属と近縁で、合一しても不自然といえない」。
◇K「クサソテツ属では、イヌガンソクをコウヤワラビ属に入れたり、コウヤワラビとクサソテツが近縁であるとする考えもあって一定しないが、本書ではコウヤワラビ属、クサソテツ属に分けた従来の考えで記す」。

◇G「ナヨシダ属がメシダ属と近縁関係にあることは、殆ど疑いを入れない。包膜の性質を軽くみれば、容易にメシダ属のものとして解釈できる」。
◇H「イワデンダ属はナヨシダ属と比較されることもあるものの、この科の内ではかけ離れて異なったものだろう」。
◇G「ウスヒメワラビ属は、胞子嚢群を重視すれば当然ナヨシダ属に入る。しかし多細胞毛はナヨシダ属にみない。葉の分岐の仕方はヒメワラビ類に似ていて、再検討を要す一群である」。
◇H「ウスヒメワラビ属はナヨシダ属と比較されるが、見掛け似と包膜のつき方の相似によるもので、有節の多細胞毛の有る点で異なる
◇G「ウサギシダ属について、Copeland はエビラシダ属をたてながら、ウサギシダをミヤマワラビと共に Newman の見解に引かれてオオバショリマ属に入れてしまった。しかし Ching の取扱いのように、ウサギシダ類とエビラシダとは系統的に近縁であることは割合はっきりしたことで、ナヨシダやメシダの群に最も近い系統関係を持つと思う」
S補遺「ウサギシダ属中のエビラシダを、別属エビラシダ属とする見解がある」
◇H「イワヤシダは、開出状に分岐した脈が2〜3列の不規則な網目をつくることと、薄質の包膜が胞子嚢群を包み成熟すると破裂することの二つを特徴に、属として独立させることがある」。
◇S補遺「シャコウシダ属をヘラシダ属から分離する」。
(佐野2000の遺伝子分析によればオオシケシダ属に移される)
◇H「ハンコックシダは、単型の独立属とされることもあるが、胞子嚢群に胞子嚢が一列に並ぶという理由で、この形質は属を区別するようなものではない」。

◇S「ミヤマシケシダ属はメシダ属に良く似てこれに合併されていたが葉軸の表面の溝は連絡せず、メシダ属と区別する」。
◇G「メシダ属とヘラシダ属とを包膜の形だけで区別することは不可能で、Copeland のように一括するのは余りにも安易なやり方である。本書ではシケチシダ属を別にして、残りを従来通りメシダ・ヘラシダの2属に分けたが、シケシダやオオヒメワラビの類とミヤマシケシダとは一括して別属にするのが良いと思う」。

◇S「メシダ属中に、根茎が這うミヤマイヌワラビ、テバコワラビ、ウラボシノコギリシダがあり、別属とする学者もある」。
◇S補遺「テバコワラビ属を、メシダ属より分離する」。
◇S補遺「メシダ属は、本書ではヘラシダ属、シケシダ属、シケチシダ属を別属として扱っているが、学者によりこれらを併せて広義に用いる見解がある」。
◇S補遺「メシダ属は、ヌリワラビ属、ウラボシノコギリシダ属、オクヤマワラビ属、テバコワラビ属なども別属に分ける見解もある」。
◇H「メシダ属は日本では非常に多様化して研究を要する属で、とりあえず35種を記録するが、属の範囲にも異論がある。秦仁昌のウラボシノコギリシダ属、カラフトミヤマシダ属なども含む」。

◇S「シケチシダ属はメシダ属に近縁があって併合する人もあり、間種も出来る」。
◇H「シケチシダ属はメシダ属に含められることもあるが、よく纏まった1群で独立で扱える。またヘラシダ属やシケシダ属と一緒にされることもある」。
◇シケチシダ属とメシダ属、ヘラシダ属とシケシダ属の間にも、それぞれ雑種が知られる。

◇S「ヘラシダ属は、メシダ属と類縁深く区別の困難なものもある位で、学者によっては合一してメシダ属とするが、纏まった群で種類も多く別属とされる」。
◇H「ヘラシダ属はメシダ属と合一する分類系がとられたこともあったが、今ではオオシケシダ属やシケチシダ属を独立に扱うことによって、メシダ属とヘラシダ属の識別が可能となったと」。
◇T「ヘラシダ属については、これまで色々と研究者により異なっている。属を大きく捉えてメシダ属の一員として扱われた時期もあり解り易い。しかし本書では近縁のメシダ属、シケシダ属、イワヤシダ属、シケチシダ属などを独立した属とする扱いをする。しかし、研究者によってはヘラシダ属の中のコクモウクジャク類、キノボリシダ類、ハンコックシダ類、ヘラシダ類などを、それぞれ独立した属とする場合もある」。
◇T「近年ヘラシダもシケシダ属の一員とする考えが発表されたが、本書では属和名の変更や範囲づけの研究が残っているので、ひとまず従来通りヘラシダをヘラシダ属の一員として記しておく」。
◇遺伝子分析(佐野2000)により属名のヘラシダそのものが、オオシケシダ属=シケシダ属に移されると、Diplazium の和名が無くなるので新しくノコギリシダ属 Diplazium が命名された。
◇K「ノコギリシダ属では、ヘラシダとノコギリシダは従来本属に含められていたが、Sano2000によりオオシケシダ属に移された」。
◇T「シケシダ属は、かってメシダ属やヘラシダ属の一員として扱われたが、葉軸の溝の構造などによりシケシダ属を認めるようになった。しかし更に分けてオオヒメワラビ属、ミヤマシケシダ属、オオシケシダ属、シケシダ属とする場合もある」。

◇T「近年ヘラシダもシケシダ属の一員とする考えが発表されたが、本書では属和名の変更や範囲づけの研究が残っているので、ひとまず従来通りヘラシダをヘラシダ属の一員として記しておく」

◇H「オオシケシダ属は、かって広義のメシダ属に入れられていたもののうち、オオヒメワラビ属、ミヤマシケシダ属、シケシダ属などが順に属の階級で識別され、相互に似た点があり、オオシケシダの類も合わせると一つの纏まった群となり、属とする場合はオオシケシダ群 Deparia が正名になることが加藤雅啓の研究で明らかにされた。本書ではそれに従い属を広義にとることにする」
◇K「オオシケシダ属は、K88ではミヤマシケシダ属としたが、H同様にオオシケシダ属とした」 
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ウラボシ目Polypodiales〕(07)
シシガシラ科
Blechnaceae<RAGSNHKT>
シシガシラ科
RA GSNT
ヒリュウシダ属Blechnum<RAGSNH>
シシガシラ属Struthiopteris<K>
ヒリュウシダ属 シシガシラ属 ヒリュウシダ属
◆RA ◆H ◆K ◆GSN(×T
シシガシラ属Struthiopteris<GSNT> 同上RA 同上H 同上K ◆GSNT
コモチシダ属Woodwardia<RAGSNHKT> ◆RA ◆H ◆K ◆GSNT

■G「Copeland はこの群が分布の様式や系統的に纏まっていることを重視してシシガシラ科をたてた」。
■G「オシダ科にヒメシダ群メシダ群、更にはクサソテツ属コウヤワラビ属のようなものまで含めるのならば、シシガシラ科に属するものもオシダ科の一系統群と考えられ、オシダ科を大きな集合とするなら Holttum のように、オシダ科の中の亜科的な取扱いをするべきであろう」。
■H「シシガシラ科は、科や属の範囲ははっきりしているが、系統的位置には定説がない」。

◇R・AはHと同様にシシガシラ属をヒリュウシダ属に含めている。Nはシシガシラ属を分けている。
◇H「ヒリュウシダ属で、葉が2形にならないものをヒリュウシダ属、はっきりした2形になるものをシシガシラ属とすることがある。シシガシラ科でもコモチシダ属以外の200種は類縁の近いことに疑う点が無く、無理に別属に区別するべきとは思われない」。
◇K「シシガシラ属を、葉が2形性を示さないヒリュウシダ属に含める考えもあるが、本書はシシガシラ属として扱う」。
◇T「シシガシラ属とヒリュウシダ属を区別しない見解もある」。
 
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ウラボシ目Polypodiales〕(08)
コウヤワラビ科
Onocleaceae<RA>
コウヤワラビ科 イワデンダ科(2)Woodsiaceae オシダ科(3)Aspidiaceae オシダ科Dryopteridaceae
RA HK NT GS
コウヤワラビ属Onoclea<RAGSNHKT> ◆RA ◆HK ◆NT ◆GS
クサソテツ属Matteuccia<RAGSNHKT> ◆RA ◆HK ◆NT ◆GS

■コウヤワラビ属とクサソテツ属は、Hはイワデンダ科、Nはオシダ科に含めたが、R・Aはコウヤワラビ科として扱っている。

ウラボシ目Polypodiales〕(09)
オシダ科
Dryopteridaceae<RANHKT> Aspidiaceae<GS>
オシダ科 オシダ科 オシダ科(4)
NT
タイワンヒメワラビ属Acrophorus<RAGSNH>Aspidiaceae<GS> ◆R ◆A ◆H ×K ◆N(×T ◆G ◆S
ヤブソテツ属Cyrtomium<RAGSNHKT> ◆R ◆A ◆H ◆K ◆NT ◆G ◆S
イノデ属Polystichum<RAGSNHKT> ◆R ◆A ◆H ◆K ◆NT ◆G ◆S
オリヅルシダ属Cytomidictyum<R> ◆R 同上A 同上H 同上K 同上NT 同上G 同上S
カナワラビ属Arachniodes<RASNHKT>Polystichopsis<G> ◆R ◆A ◆H ◆K ◆NT ◆G ◆S
ナライシダ属Leptorumohra<RSNKT> ◆R 同上A 同上H ◆K ◆NT 同上G ◆S
オシダ属Dryopteris<RAGSNHKT> ◆R ◆A ◆H ◆K ◆NT ◆G ◆S
ナンタイシダ属Athyriorumohra<RSN> ◆R 同上A 同上H 同上K ◆N(×T (Gカナワラビ属 ◆S
ホウノカワシダ属Nothoperanema<S2NK> ◆R 同上A 同上H ◆K ◆NT (Gオシダ属 S2(*)
カツモウイノデ属Ctenitis<RAGSNHKT> ◆R ◆A ◆H ◆K ◆NT ◆G ◆S
キョスミヒメワラビ属Dryopsis<RNT> ◆R 同上A 同上H 同上K ◆NT 同上G 同上S
サツマシダ属Ctenitopsis<GS> Ataxipteris<R> ◆R (Aカツモウイノデ属 同上H 同上K (Nカツモウイノデ属(×T ◆G ◆S
    ツルキジノオシダ科Lomariopsidaceae  
ヘツカシダ属Bolbitis<RAGSNHKT> ◆R ◆A ◆H ×K ◆N(×T ◆G ◆S
アツイタ属Elaphoglossum<RAGSNH> ◆R ◆A ◆H ×K ◆N(×T ◆G ◆S
    イワデンダ科Woodsiaceae  
キンモウワラビ属Hypodematium<RAGSNHK> ◆R ◆A ◆H ◆K ◆N(×T ◆G ◆S

■Rは日本のオシダ科を15属に分けているが、各属はNの扱い(13属)にほぼ近い。Aは6属としてHの扱いに近い。 
■Nのオシダ科は、ヒメシダ科・イワデンダ科・コウヤワラビ科・オシダ科・ツルキジノオシダ科・ナナバケシダ科に細分されており、本頁では(1)〜(6)に表が分かれる。
■G「オシダ科とイノモトソウ科は最も大きな問題の多い大きな科であり、一時のまにあわせに Copeland にそのまま従っておいたが、Copeland のオシダ科はあまりに大きくて纏まりがないので、幾つかの科に分ける試案が出されているが、まだ不完全である。もし分ける場合に各意見を総合すれば、オシダ科、ツルキジノオ科、ヒメシダ科、メシダ科、に分けられる」。
■S補遺「オシダ科を、メシダ科・オシダ科・コウヤワラビ科・ヒメシダ科・ツルキジノオ科に細分する見解がある」。
■H「田川図鑑<G>や大井の日本植物誌でのオシダ科は、Copeland の分類系に従っているが、オシダ科は大きく設定されており、本書でのツルキジノオシダ科、ヒメシダ科、イワデンダ科なども包合されている。しかしこれらの科は胞子嚢群や包膜の構造、維管束走行、毛や鱗片の形態、染色体基本数など、本書のオシダ科と同系統であると断じることはできない。他の科との関係も考えながら本書では4科に細分する取扱いに従っておく
■Kは日本のオシダ科10属とし、県内7属としている)(Tは日本のオシダ科51属とし、県内25属としNに準ずる。 この頁top
■R「キンモウワラビ属の正確な系統的位置は今なお不明だが、少なくともイワデンダ科よりもオシダ科に近いことは確かなので、暫定的にオシダ科に含めて扱われている」。
◇キンモウワラビ属は、Hではイワデンダ科、Nではオシダ科に置かれていたが、RはNと同様にオシダ科に、AはHと同様にイワデンダ科にと、扱いが分かれた。
■ヘツカシダ属とアツイタ属は、AはHと同じくツルキジノオ科に置いている。RはNと同様にオシダ科に置いていて、扱いが分かれた。 

◇ホウノカワシダ属は、RはNと同様にホウノカワシダ属として扱い、AはHと同様にオシダ属に含まれ、扱いが分かれた。 
◇(*):ホウノカワシダ属はS補遺でオシダ属から分離される。(和名ホウノカワシダは、牧野富太郎が1887年に土佐朴ノ川山にて発見由来<S>、和名ホウノカワシダ使用<STNK>、ホオノカワシダ採用<H>)
◇S補遺「ホウノカワシダ属をオシダ属から分離する」
K「ホウノカワシダ属は基本染色体数n=40で、オシダ属のn=41と異なるなどのために別属とされ本書では独立して記すが、オシダ属に含めることもある」

◇Gカナワラビ属で「 Holttum の説に従い Polystichopsis としたが、古い属名に Arachniodes があり、この基準種がホソバカナワラビで間違いないなら、この属名が浮かび上がる」。
◇ナライシダ属は、AはHと同様にカナワラビ属に含んで扱われ、RはNと同様にナライシダ属として区別し、扱いが分かれた。
◇H「カナワラビ属の中の、ナライシダなどの3種をナライシダ属にする考えがある。この類はカナワラビ属の他種と違って葉質が薄く草質で、両面に単細胞毛があり、纏まった群ではあるが、節の段階で区別するのがよく、属を区別するまでもないだろう」
S「ナライシダは葉面に毛があるので別属ナライシダ属である」
◇S「ナライシダ属は小羽片が内先につきカナワラビ属と同じだが、表面に単細胞の尖った毛があり腺はない。学者によりカナワラビ属に入れることがあるが毛の性質はヒメシダ属に似るので別属が良い」
K「ナライシダ属は、葉質と毛の他はカナワラビ属と変わらず同属に含める考えもあるが、良く纏まった種類なので独立種として扱う」
◇ナライシダ属はカナワラビ属との雑種が知られ、これを認めるならカナワラビ属に含まれるのが妥当であろう。

◇ナンタイシダ属は、AはHと同様にオシダ属に含んで扱われ、RはNと同様にナンタイシダ属として区別し、扱いが分かれた。
K「ナンタイシダは従来本属に入れられていたが、芹沢1974によりオシダ属に移された」
◇S「ナンタイシダ属は、軸の分岐の仕方はカナワラビ属と同じで、カナワラビ属とされたり、オシダ属とされたりした。筆者は独立した新属ナンタイシダ属を提唱する」

◇G「オシダ属は、従来の大きなオシダ属から、主にデンマークの Christensen の構想に基づき、多くの属が分離され、系統的に良く纏まった属になった。彼の功績は大きい」
S「オシダ属には、古くは包膜の円腎形のシダ全部属に加えたが、毛の性質や小羽片の上先などが除かれて来た」。
H「オシダ属のカナワラビ属との区別指標であった小羽片の出方(内先)などが、絶対的ものではないことが示され、コスギイタチシダに不規則に結合する脈が存在し、ミヤマイタチシダの葉柄基部に無性芽が認められたり、オシダ属を定義するのに用いられる形質に例外がみられる」。
◇T「オシ
ダ属は、古い時代には包膜が円腎形のものは皆本属にされたが、毛の性質や、小羽片が上先のものなど除かれた(例外がある)」

◇G「ヤブソテツ属はイノデ属と系統的に関係のあることは明らかだが、Copeland のように中南米のファネロフレビア属と同属にするには疑問がある。この属はまだ形質に未知の点が多く、早まった結論は誤りを犯しかねない
◇H「イノデ属は属としての内容も様々で、田川1940は8節に、大悟法1972は16節を認める体系を提唱している。本書では伝統的な広義の取扱いに従う」
◇従来N・Hではイノデ属とされたオリヅルシダ等を、Rは新たにオリヅルシダ属として扱っている。Aは従来どおりイノデ属として扱いが分かれた。

◇S「カツモウイノデ属には、かってホウノカワシダ属が含まれていて、本検索では加えて記する」
H「カツモウイノデ属は、Holttum により幾つかの属に細分する分類系が提唱され、キヨスミヒメワラビ属とサツマシダ属はこの研究によって記載されたが、本書では従来通りカツモウイノデ属に含めておく。なお、カツモウイノデ属、ナナバケシダ属、ハルランシダ属は独立のナナバケシダ科とされることがある

K「カツモウイノデ属は、本書ではHと同様に記す」

◇サツマシダ属は、RはG・Sなどと同様にサツマシダ属として扱っており、AはNと同様にカツモウイノデ属に含まれるとし、扱いが分かれた。
◇G「Cning がたてたサツマシダ属は、ミカワリシダ属 Tectaris から遊離脈をもつものを抜き出して纏めたようなもので、内容はごたごたしている。この属の中では特殊なもので、カツモウイノデ属に似た特徴をもっているので今しばらくそのままにしておく。Copeland がカツモウイノデ属に簡単に押し込んだのは軽はずみであった」。
H「サツマシダは、葉脈はナナバケシダ属に、葉軸鱗片や胞子の模様や染色体数はカツモウイノデ属に似るが、葉面に単細胞の腺毛を欠く点は特徴的で、 Holttum は単型のサツマシダ属として扱かった」

■H「本書で狭義に定義したオシダ科は、軸上に有節毛をもつナナバケシダ亜科と、持たないオシダ亜科に区別され、科に独立させることもある」
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ウラボシ目Polypodiales〕(10)
ツルキジノオ科
Lomariopsidaceae<RAH>
ツルキジノオ科 ツルキジノオ科 オシダ科(5)
Dryopteridaceae
オシダ科
Aspidiaceae
HK NT GS
ツルキジノオ属Lomariopsis<RANH> ◆R ◆A ◆H(×K ◆N(×T ×GS
  オシダ科    
ヘツカシダ属Bolbitis<RAGSNH> ◆R ◆A ◆H(×K ◆N(×T ◆GS
アツイタ属Elaphoglossum<RAGSNH> ◆R ◆A ◆H(×K ◆N(×T ◆GS
  ツルキジノオ科 ツルシダ科Oleandraceae シノブ科Davalliaaceae
タマシダ属Nephrolepis<RAGSNHK> ◆R ◆A ◆HK ◆N(×T ◆GS

■Nのオシダ科は、ヒメシダ科・イワデンダ科・コウヤワラビ科・オシダ科・ツルキジノオシダ科・ナナバケシダ科に細分されており、本頁では(1)〜(6)に表が分かれる。
■H「ツルキジノオ科は3群に区別され、それぞれ多様な形態をもつが、同じ系統に属する点については大方の解釈が一致している」。
■S補遺「オシダ科を、メシダ科・オシダ科・コウヤワラビ科・ヒメシダ科・ツルキジノオ科に細分する見解がある」。
◇ヘツカシダ属とアツイタ属は、AはHと同様にツルキジノオ科としている。RはNと同様にオシダ科として、扱いが分かれた。
◇S「アツイタ属を科に建てる説あり」。
◇タマシダ属は、AはHと同様にツルシダ科として扱い、Rはツルキジノオ科として扱いが分かれた。Nはシノブ科としている。 
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〔ウラボシ目Polypodiales〕(11) 
ナナバケシシダ科
Tectariaceae<RA>
ナナバケシシダ科 ナナバケシシダ科 オシダ科(6)Dryopteridaceae オシダ科Aspidiaceae
ナナバケシシダ属Tectaria<RASNH> ◆R ◆A ◆H(×K ◆N(×T ◆S(*) ×G
ハルランシダ属Hemigramma<RANH> ◆R ◆A ◆H(×K ◆N(×T ×S ×G
    ツルシダ科Oleandraceae シノブ科Davalliaaceae
ワラビツナギ属Arthropteris<RASNH> ◆R ◆A ◆H(×K ◆N(×T ◆S ×G

■ナナバケシダ科・ツルシダ科・シノブ科の3科(広く扱ったシノブ科)は、従来から文献により属の範囲が異なってきたが、R・Aにおいても扱いが分かれた。
■RAはナナバケシダ科をオシダ科から分けて扱う。NHはオシダ科としていた。
■Nのオシダ科は、ヒメシダ科・イワデンダ科・コウヤワラビ科・オシダ科・ツルキジノオシダ科・ナナバケシダ科に細分されており、本頁では(1)〜(6)に表が分かれる。
■S補遺「オシダ科を、メシダ科・オシダ科・コウヤワラビ科・ヒメシダ科・ツルキジノオ科に細分する見解がある」。
◇ワラビツナギ属は、Rはナナバケシダ科として扱っており、AはHと同様にツルシダ科とし、扱いが分かれた。Nはシノブ科としている。
◇(*):Sのナナバケシダ属は、検索表でミカワリシダ属、解説でナナバケシダ属となっている。

ツルシダ科
Oleandraceae<RAHK>
ナナバケシシダ科Tectariaceae ツルシダ科 シノブ科Davalliaaceae
HK GSNT
ワラビツナギ属Arthropteris<RASNH> ◆R ◆A ◆H(×K ◆SN(×GT
  ツルキジノオ科Lomariopsidaceae    
タマシダ属Nephrolepis<RAGSNHKT> ◆R ◆A ◆HK ◆GSN(×T

◇タマシダ属は、AはHと同様にツルシダ科として扱っているが、Rはツルキジノオ科とし、扱いが分かれた。Nはシノブ科としている。

シノブ科
Davalliaaceae<RASNHKT>
シノブ科 シノブ科 シノブ科
HK GSNT
シノブ属Davallia<RASNHKT> ◆R ◆A ◆HK ◆GSNT
キクシノブ属
Humata<RGS> Pachypleuria<ANHT>
◆R
Humata
◆A
Pachypleuria
◆H(×K ◆GSN(×T
  ナナバケシシダ科Tectariaceae ツルシダ科Oleandraceae  
ワラビツナギ属Arthropteris<RASNH> ◆R ◆A ◆H(×K ◆SN(×GT
  ツルキジノオ科Lomariopsidaceae    
タマシダ属Nephrolepis<RAGSNHKT> ◆R ◆A ◆HK ◆GSN(×T

■G「シノブ科の範囲は学者の意見はまだ統一されておらず、シノブやキクシノブ類と、タマシダ類とを別に扱うこともあるが、本書では Copeland の方式に従っておく」。
■H「シノブ科とツルシダ科と合一をされることもあるが、根茎の構造その他で異なっている。本書では加藤雅啓の研究に従いシノブ科9属(日本2属)に分類する体系をとる」(ツルシダ科2属)。
■T「シノブ科は従来どおりに従えば、ワラビツナギ属、キクシノブ属、シノブ属、タマシダ属の4属。最近ではキクシノブ属をシノブ属に含める研究者もいる」。
◇タマシダ属は、AはHと同様にツルシダ科として扱っているが、Rはツルキジノオ科とし、扱いが分かれた。Nはシノブ科としている。
◇ワラビツナギ属は、Rはナナバケシダ科として扱っており、AはHと同様にツルシダ科とし、扱いが分かれた。Nはシノブ科としている。 
 
 
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〔ウラボシ目Polypodiales〕(12)
ウラボシ科
Polypodiaceae<RAGSNHKT>
ウラボシ科 ウラボシ科 ウラボシ科(2) ウラボシ科
HK NT
ヒトツバ属Pyrrosia<RAGSNHKT> ◆R ◆A ◆HK ◆NT ◆G ◆S
ビロードシダNeoniphopsis<S> 同上R 同上A 同上HK 同上NT 同上G ◆S
ヒトツバノキシノブ属Saxiglossum<SN> 同上R 同上A 同上H(×K ◆N(×T ×G ◆S
ノキシノブ属Lepisorus<RAGSNHKT> ◆R ◆A ◆HK ◆NT ◆G ◆S
マメヅタ属Lemmaphyllum<RAGSNHKT> ◆R ◆A ◆HK ◆NT ◆G ◆S
オニマメヅタ属・オオボシシダ属Lepidogrammitis<RSN> オオボシシダ属 同上A 同上マメヅタ属H(×K オニマメヅタ属 同上G オニマメヅタ属
◆R ◆N(×T ◆S
クラガリシダ属Drymotaenium<RAGSNH> ◆R ◆A ◆H(×K ◆N(×T ◆G ◆S
イワヒトデ属Colysis<RAGSNH> ◆R ◆A ◆H(×K ◆N(×T ◆G ◆S
ヌカボシクリハラン属Microsorium<AGSH>
クリハラン属Neocheiropteris<R>
クリハラン属 ヌカボシクリハラン属 同上イワヒトデ属N ヌカボシクリハラン属
◆R ◆A ◆H(×K ◆G ◆S
クリハラン属Neocheiropteris<RGSNHKT> 同上A ◆HK ◆NT ◆G ◆S
ヤノネシダ属Leptochilus<RNT> ◆R 同上A 同上HK ◆NT 同上G 同上S
オキナワウラボシ属・タカウラボシ属Phymatosorus<RSN> タカウラボシ属 同上A (Hヌカボシクリハラン属
(×K
オキナワウラボシ属 ×G オキナワウラボシ属
◆R ◆N(×T ◆S
オキノクリハラン属
Paraleptochilus<RN> Leptochilus<AH>
◆R ◆A ◆H(×K ◆N(×T ×G ×S
カザリシダ属
Aglaomorpha<RANH> Pseudodrynaria
<S>
◆R ◆A ◆H(×K ◆N(×T (×G) ◆S
サジラン属Loxogramme<RAGSNHKT> ◆R ◆A ◆HK ◆NT ◆G ◆S
ミツデウラボシ属Crypsinus<RAGSNHKT> ◆R ◆A ◆HK ◆NT ◆G ◆S
エゾデンダ属Polypodium<RAGSNHK> ◆R ◆A ◆HK ◆N(×T ◆G ◆S
アオネカズラ属Goniophlebium<RN> ◆R 同上A 同上HK ◆N(×T 同上G 同上S
ハカマウラボシ属Drynaria<RSN> ◆R ×A ×HK ◆N(×T ×G ◆S
    ヒメウラボシ科Grammitidaceae<GSHK>   ヒメウラボシ科
ヒメウラボシ属
Oreogrammitis<R> Grammitis<AGSNH>
◆R ◆A ◆H(×K ◆N(×T ◆G ◆S
オオクボシダ属
Micropolypodium<R>Xiphopteris<AGSNHK>
◆R ◆A ◆HK ◆N(×T ◆G ◆S
キレハオオクボシダ属Ctenopteris<AGSNH>
トラノオウラボシ属Tomophyllum<R>
トラノオウラボシ属 キレハオオクボシダ属
◆R ◆A ◆H(×K ◆N(×T ◆G ◆S
シマムカデシダ属・チョクミシダ属Prosaptia<RN> チョクミシダ属 同上A 同上HK シマムカデシダ属 ×G 同上S
◆R ◆N(×T
    ホウライシダ科 イノモトソウ科 イノモトソウ科
カラクサシダ属Pleurosoriopsis<RAGSNHKT> ◆R ◆A ◆HK ◆NT ◆G ◆S(*)

■R「しばしば分離されるヒメウラボシ科はCopelandが扱ったようにウラボシ科の一部として扱う」。
■Hはヒメウラボシ科をウラボシ科から分けており、R・AはNと同様にウラボシ科に含めて扱っている。

■Nのウラボシ科は、ヤブレガサウラボシ科・スジヒトツバ科・ウラボシ科に細分されており、本頁では(1)〜(2)に表が分かれる。
■日本のウラボシ科をAは15属に区別し、Hとはクリハラン属(Aではヌカボシクリハラン属に含まれる)とカラクサシダ属(Hではホウライシダ科)の他は同じ扱いをしている。
■日本のウラボシ科をRは21属に区別し、Nとはヒトツバノキシノブ属(Rはノキシノブ属に含めている)とカラクサシダ属(Nではイノモトソウ科)の他は同じ扱いをしている。
■G「垂直不完全な環帯をもつ類を纏めたウラボシ科から、次第に無関係の属が除かれ、最後にヒメウラボシ科を除いて、残ったウラボシ科の属は良く纏まっている」。
■H「ウラボシ科は、少し前はシダ類の殆どを含む広義に定義されていたが、研究が進んで狭義の纏まりが自然群として認められるようになった。更にサジラン属やビカクシダ属も科に独立させる考えもあり、逆にスジヒトツバ科をウラボシ科に含む説もあり、現在もまだ定義が確定していない」。
■H「狭義のウラボシ科には、ヒトツバ群、ノキシノブ群、ヌカボシクリハラン群、ミツデウラボシ群の4群を認める」。
■H「ヒメウラボシ科の属の分類は、葉の分岐と胞子嚢群の構造などを指標とした機械的なもので、研究を要する。包膜の無い円形の胞子嚢群を持つことなどからウラボシ科と一緒にされたこともあるが、葉柄が関節しない、剛毛がある、胞子が球状4面体型である、中心柱が単純な構造、などの点でウラボシ科と異なり、類縁が近いとも考えられない」。
■H「ヤブレガサウラボシ科は、スジヒトツバ科との共通点もあり、共に狭義のウラボシ科に含める分類系もある」。
■H「スジヒトツバ科は、鱗片が無く、主脈が叉状分岐し、斜めに巻く環帯をもつ、など原始的形質が多く、葉脈、葉の構成などはヤブレガサウラボシ科に似ているので、ウラジロ科などと比べられることもあり、一方ウラボシ科と共通する形質も多く、独立させずウラボシ科に含める分類系が認められることも多い」。
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◇R「カラクサシダ属は、従来イノモトソウ科またはホウライシダ科に含められることが多かったが、ウラボシ科に含めるべきということが判明した」。
◇カラクサシダ属は、Nではイノモトソウ科、Hではホウライシダ科とされていたが、R・Aではウラボシ科として扱われている。

◇Sのカラクサシダ属はカラクサシダ科の見解があるとしている。

◇Lepidogrammitis(Rはオオボシシダ属、Nはオニマメヅタ属)をR・Nは属として区別し、AはHと同様にマメヅタ属に含まれるとして、扱いが分かれた。
◇H「マメヅタ属のうち、胞子嚢群が円くて中肋の両側に1列に並ぶ仲間を、オニマメヅタ属として属の階級で区別することもある。胞子嚢群にある楯状鱗片が良い指標になるように、ノキシノブ属に近縁で、差を定義するのが難しいくらいである」。
◇S「オニマメヅタ属はマメヅタ属とノキシノブ属の中間にあって、学者によりマメヅタ属に合する」。

◇H「クリハラン属は根茎の鱗片の特殊な構造などを指標として定義されるが、日本の2種はそれほど似ていず不均一な内容を持つ。ノキシノブ属の群とヌカボシクリハラン属の群の中間にあり、属の類縁関係を知る上でも研究を要す属である」。
◇Phymatosorusを、RはNと同様に属として扱い(Rはタカウラボシ属、Nはオキナワウラボシ属)、AはHと同様にヌカボシクリハラン属に含むとして、扱いが分かれた。
◇Hはヌカボシクリハラン属とクリハラン属を分けているが、R・Aは属名称は異なるが同じ属として扱っている。Nはヌカボシクリハラン属をイワヒトデ属に含めている。
◇Phymatosorusは、AはHと同様にヌカボシクリハラン属に含めるが、RはNと同様に属として区別し、扱いが分かれた(Rはタカウラボシ属、Nはオキナワウラボシ属)。
◇H「ヌカボシクリハラン属では、オキナワウラボシ属を独立属とする考えもあるが、残りのヌカボシクリハラン属やミツデウラボシ属との関係が整理されておらず研究の必要あり。近縁の属も含めて考えた場合、鱗片の構造などに重点を置いて定義した Copeland 以来の説に従うのが無難である。なお、ヌカボシクリハラン属を母型に、オキノクリハラン属、イワヒトデ属、カザリシダ属などはウラボシ科のうちでも一つのまとまりをつくる群とみなされる」。
◇<N>ではイワヒトデ属Colysisにしていたが、<T03>ではクリハラン属Neocheiropterisにしている。
◇S・S補遺「オキナワウラボシ属はヌカボシクリハラン属に、学者によって編入するすることがある」。
◇H「オキノクリハラン属は、典型的な2形の葉を持つ種をやや機械的に集めて構成された属で、実体は良く解らない。2形にならないヌカボシクリハラン属など、幾つかの属にそれぞれ近縁と推定される種が含まれており、研究が待たれる。オキノクリハランはイワヒトデ属に似た点が多いとされる」。

◇G「サジラン属は一般に関節がないといわれるが誤りで、関節はあるがはっきりと落葉しない。Copeland は関節の無い事や胞子の形からヒメウラボシ科に入れているが、今のところウラボシ科にしておくのが穏当であるとおもう」。
◇S「サジラン属を科にする説もある」)(S補遺「サジラン属をシシラン科に編入する見解がある」。
◇H「サジラン属は分類上の位置に問題があり、4面体型の胞子のあることや葉柄が関節しないことからヒメウラボシ科に入れる説もある。胞子には左右相称型もあり、葉柄は脱落性ではないが離層ができるので関節があるのと同じ性質を示すことから、独立のサジラン科を認める考えもある。科が独立してもウラボシ科近傍は疑う根拠がない。ウラボシ科のうちではヌカボシクリハラン属とその類に近いだろう」。

◇H「クラガリシダ属は単型属で、ノキシノブ属に近縁で形質が特殊化したもので、属で区別することに疑問を持つ人はいない」。
◇G「Copeland はノキシノブ属を主として熱帯アメリカに産する Pleopeltis に合したが賛成できない。むしろクラガリシダ属やマメヅタ属と合すのが合理的である」。
◇ハカマウラボシ属については、AはHと同様に扱いはなく、RはNと同様にハカマウラボシ属とし、扱いが分かれた。
H「ハカマウラボシ類は属の分類に幾つかの説がある」。

◇Rはキレハオオクボシダをトラノオウラボシ属Tomophyllumとした。AはN・Hと同様にキレハオオクボシダ属Ctenopterisとして扱っている。
◇RはNのシマムカデシダ属Prosaptiaをチョクミシダ属と称した。AはHと同様にキレハオオクボシダ属(Hはホウライシダ科)として称している。
◇H「キレハオオクボシダ属のうち、裂片の辺縁のやや内側にコップ状の凹部をつくり、胞子嚢群がその中に没して、縁が盛り上がって外面または斜め外側に開くものが30種ほどありチョクミシダ属として区別されることがある。しかし栄養葉の形質では不均一で、また他の種との差もはっきりせず、キレハオオクボシダ属がもう少し良く研究されるまで属を広義にとっておきたい」。

◇H「ミツデウラボシ属はヌカボシクリハラン属と並んで、ウラボシ科の多様さのうちで2つの母型となるもだが、この2属で区別に困るような種もある。ヌカボシクリハラン属の中のオキナワウラボシ類は、ミツデウラボシ属との中間に位置するとして属と認めることもある。ミツデウラボシ属から切込んで単羽状複葉になった型がアリサンシダ属で、更に羽片が増えて葉脈が単純になったものがエゾデンダ属であるとみなす説もある」。
◇H「エゾデンダ属 Polypodium は、シダの大部分に相当する円くて包膜の無い胞子嚢群をもつものを総て Polypodium ウラボシ属とされていたこともあり、シダ類分類の歴史はウラボシ属を狭義に認識するようになる歴史でもある。狭義のものは紛れないように和名もエゾデンダ属と呼ぶようになっている。更に細分して、エゾデンダ、オオエゾデンダ以外をアオネカズラ属として区別する分類系もある」。
◇H「ヒトツバ属は、アジアを中心に100種ほど記録されたが、 Hovemkamp 1986は50種に纏めた。種の分類にはまだ解らない点が多いく、日本の6種も検討すべき問題がある。星状毛を厚くかぶる性質は乾生植物の物と考えられ、同じ性質の毛はビカクシダ属にもあり、近縁であるとも考えられるる」。
◇Nで扱ったヒトツバノキシノブ属は、R・AはHと同様にヒトツバ属に含めて扱っている。
◇アオネカズラ属については、AはHと同様にエゾデンダ属に含むとし、RはNと同様に属として区別し、扱いが分かれた。
◇ヤノネシダ属をRはNと同様にヤノネシダ属として区別したが、AはHと同様に属とはせず(Aはヌカボシクリハラン属に含む、Hはクリハラン属に含む)、扱いが分かれた。
◇H「カザリシダ属は胞子嚢群をつける裂片の構造の差などによって4属に細分する考えもある」。
  
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この表の使用法》          米倉分類表・大場分類表の、従来説との違いと傾向

・各文献を表すのにアルファベット一文字の「略記」を用いた。

<文献>
岩槻邦男 1992.日本の野生植物シダ,311pp.平凡社.<略記H>
神奈川県植物誌調査会(編) 2001.シダ植物.神奈川県植物誌2001,pp.12-150.神奈川県立生命の星・地球博物館.
<略記K>
中池敏之 1992.増補改訂版 新日本植物誌シダ篇,868pp.至文堂.
<略記N>
杉本順一 1979.日本草本植物総検索誌V シダ編,481pp.井上書店.
<略記S>(補遺で修正され場合、修正後をS2、修正前をS1とした)
田川基二 1959.原色日本羊歯植物図鑑,270pp.保育社.<略記G>
千葉県史料研究財団(編) 2003.シダ植物.千葉県の自然誌 別編4 千葉県植物誌,pp.1-76.千葉県.
<略記T>

大場秀章 2009.植物分類表,515pp.アボック社.<略記A>
米倉浩司著 邑田仁監修 2009.高等植物分類表,190pp.北隆館.<略記R>

・「◆」は各文献で採用している属を視覚的に示す記号。
・「■」は科関連、「◇」は属関連。
・各文献中の、科属の取扱いに関する部分を抜書きし、その意訳を
青色文字」で付記した。
・筆者の注は「
茶色文字」で付記した。
・2009年発刊の植物分類表(R=米倉2009、A=大場2009)での記述・および関連事項の筆者注を「
赤茶色文字」で付記した。
 
(この中の記述は、従来の日本のシダ植物の分類体系を事実上代表していると考えられる2文献、中池1992、岩槻1992での扱いと、R・Aの扱いとがどのような関係になったかを中心に記述した。すなわち、RANHの何れかが異なる扱いをしている部分である。言葉を変えると、RANHが全て一致しているもの以外、である)

・付記した「
赤茶色文字」部分を、「米倉分類表・大場分類表の、従来説との違いと傾向」として別頁にまとめた。

・Kでの分類は岩槻1992=「H」を基本として記されていてHに準じた記載が多いが、一部の科属では各項の執筆者の判断で変更されている部分もある。
KはHを一応の基本としており、リュウビンタイ科、ヘゴ科、タカワラビ科、ツルキジノオ科、ヤブレガサウラボシ科、スジヒトツバ科は分布していないとして記載は無いが、認識はされている。
・Tでは中池氏の指導により記載されているので、中池1992=「N」の分類系に沿っていると考えられる。
・KとTでは、県内分布のない科属は記載されていないが、それぞれの図鑑の中で科に対する属数の記載がある場合、推測で筆者が判断して「K・T」と略記した部分がある。判断のつかない部分は「?」や「×」を付した。
・中池1992での属間雑種は省いた。
・Sの外国品属は省いた。
・Sの補遺部分では、確定した部分のみを反映させ、「見解がある」等の場合はそのままにした。
・「×」は自生が無い。従ってG・Sでは記載もないが、K・Tでは属としての認識はされている場合がある。
(分類体系は、採用している文献がが多いか少ないかは、優劣に関係しない。古い新しいも優劣には関係しない。オシダ科(2)のヌリワラビ属が良い例である)  この頁top

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