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〔キンポウゲ科キンポウゲ属キツネノボタン類 図入り検索表〕(2011/8/27;追記2011/9/2)

 キツネノボタン類の区別は、従来は花柱の先の曲がり方や茎の毛などが主要な識別点として用いられ、近年は花柱が識別点とならないことから葉の形質が検索のキーに加えられてきた。このことを知らずにいた筆者は従来からの知識で花柱の形質を同定のよりどころにしていたが、最近になって花柱の曲がり方が使えないことを教わり、実際に検証して花柱の曲がりを検索キーとするのは不適当であると納得し、本検索表を作成するに至った。
 しかし今回の検証では葉の形質や茎の毛の状態も区別の決め手とはならず、キツネノボタンとケキツネノボタンの明確な識別点は痩果の形質にある。主要文献での痩果と稜についての扱いは、検索表では稜の形質キーを花柱の後に置いたことや、稜の表現がやや不完全であったり、稜の有無や位置が筆者の検証とは多少異なっていることなどから、少し解りにくいと思われる。
 ここでは痩果の形質の違いを明確にし、花柱や茎の毛や葉の形質が識別の決め手にならなかった理由を述べる。

頁概要(Pdfファイル)
◆頁1 《キツネノボタン類図入り検索表》 《はじめに》 《痩果の稜の検証》
◆頁2 
《花柱の検証》
◆頁3 
《茎下部の毛の検証》
◆頁4 
《中下部の葉の検証》
◆頁5 
《学名》 《問題点》 《追記:問題点の解決》 《参考資料》

(全頁Pdfファイル→キツネノボタン類図検索頁1〜頁5)

(キツネノボタン類図検索表)
Ranunchlus silerifolius、キツネノボタン、Ranunchlus cantoniensis、ケキツネノボタン、ヤマキツネノボタンこの頁top

参考検索2003『キンポウゲ科キンポウゲ属』
◆A水中にはえ、葉は細かく糸状に裂ける
◆B痩果の背面に剛毛がある【バイカモ】
◆B痩果の背面は無毛、花柄は長さ1-3cm【ヒメバイカモ】
◆A陸上あるいは浅い水中に生え、葉の裂片は糸状ではない
◆B痩果の面に刺がある【トゲミノキツネノボタン】
◆B痩果の面に刺はない
◆C葉は3出複葉
◆D地表に走出枝を出す、萼片は開花時に反曲しない【ハイキンポウゲ】
◆D地表に走出枝は出さない、萼片は開花時に反曲する
◆E集合果は長楕円形【コキツネノボタン】
◆E集合果は球形
◆F葉の裂片は幅が広く、互いに重なり合い、凹入部は広卵形;茎の下部は無毛または短い斜上毛がある;葉柄の毛は斜上;痩果の縁に稜はない
◆G茎の下部は無毛または毛が散生する【キツネノボタン*】
◆G茎の下部に密に上向きの毛がある【ヤマキツネノボタンv】
◆F葉の裂片は幅が狭く、重なり合わず、凹入部は狭卵形;茎の下部の毛は長くやや下向きに開出;葉柄の毛は開出;痩果の縁は隆起して稜になる【ケキツネノボタン】
◆C葉は掌状に浅-深裂
◆D葉柄、茎に開出した毛が多い【ウマノアシガタ】
◆D葉柄、茎は無毛または毛が散生する
◆E多年草;集合果は楕円形;紡錘状の根がある【ヒキノカサ】
◆E1年草;集合果は球形;根はひげ根のみ;葉にいちじるしい光沢がある【タガラシ】
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参考検索2001『キンポウゲ科キンポウゲ属』
◆A枕水植物、花は白色、痩果が乾くと横じわができる
◆B浮葉はない【バイカモ】
◆B浮葉ができる【イチョウバイカモ】
◆A陸上生草本、花は黄色、痩果に横じわはできない
◆B痩果に刺針はない
◆C葉は浅深裂、痩果は肥厚する
◆D集合果は長楕円形、越年草【タガラシ】
◆D集合果は長楕円形、多年草
◆E根は紡錘状にふくれない【ウマノアシガタ】
◆E根は紡錘状にふくれる【ヒキノカサ】
◆C葉は3出複葉、痩果は扁平
◆D茎の基部が塊状となる【セイヨウキンポウゲ】
◆D茎の基部が塊状とならない
◆E茎の基部から走出枝を出す、花期にも萼が反り返らない【ハイキンポウゲ】
◆E茎の基部から走出枝を出すことはない、萼は花期に反り返る
◆F小裂片は幅が広く、隣の裂片と重なり合うことが多いので、ふつう湾入部は空所となる;花柱は先は強く曲がる傾向がある
◆G茎の毛はほとんどないか斜上する
◆H茎は直立して30cm以上、花はやや多数【キツネノボタン】
◆H茎は直立して30cm以下、斜上毛が多く、山間湿地に生える【ヤマキツネノボタン】
◆G茎の毛は開出して密集する【タチゲキツネノボタン】
◆F小裂片は幅が狭く、隣の裂片と重なり合うことはない;花柱の先はほとんど曲がらないか多少曲がる;茎には開出毛が密生する
◆G花床は長さ5mm以下、集合果は球形
◆H葉は1回3出、小裂片の先は鈍い傾向【ケキツネノボタン】
◆H葉は2回3出、小裂片の先は鋭頭【オトコゼリ】
◆G花床は長さ6mm以上、集合果は楕円形〜長楕円形【コキツネノボタン】
◆B痩果には両面に刺針がある
◆C葉は3〜5中裂し、終裂片は幅が広い【トゲミノキツネノボタン】
◆C葉は3出複生し、終裂片は幅が狭い【イトキツネノボタン】
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参考検索1982『キンポウゲ科キンポウゲ属』
◆C葉は3出複葉;痩果は扁平で、長さ2.5-4mm
◆D地上に走出枝を出してふえる;花は径2cm内外、萼片は花時にも反転しない【ハイキンポウゲ】
◆D地上に走出枝を出さない;花は径1-2cm、萼片は花時に反転する
◆E茎は少なくとも一部は地上をはう;花は単生し、集散花序をつくらない
◆F茎は花後に地上をはって伸びる【ツルキツネノボタン】
◆F茎は花後に伸びることはない【シマキツネノボタン】
◆E茎は直立または斜上し、明らかな集散花序をつくる
◆F集合果は長楕円形;越年草【コキツネノボタン】
◆F集合果は球形;多年草
◆G葉は1回3出複葉
◆H花柱は細く、先は強く曲がる;茎は普通無毛、または斜上毛がある【キツネノボタン】
◆H花柱は太く、先はわずかに曲がる;茎に開出するあらい毛が多い【ケキツネノボタン】
◆G葉は少なくとも下部のものは2回3出複葉【オトコゼリ】
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参考検索1983『キンポウゲ科キンポウゲ属』
◆F地上に匍枝を出す;葉は表面に伏毛を散生する;花径15-22mm;萼片は果期に反転しない【ハイキンポウゲ】(北ー秋田・栃木;亜寒の湿原)
◆F地上に匍枝を欠く
◆G果群は円柱状長楕円形;葉の小裂片は倒被針形;茎に開出長毛が多い【コキツネノボタン】(北-九;湿地・湖畔)
◆G果群は球形;果床の高さ1-5mm
◆H茎は直立し、節から苗はできない
◆I葉は2回3出し小葉は楔状倒被針形;茎に開出毛を密生する;果長3mm【オトコゼリ】(岩手ー中国;湿原)
◆I葉は1-3回3出し、小葉は卵形;果長3.5-4mm
◆J茎は無毛又は斜上毛がある;果は花柱が著しく曲がる◇茎細く伏毛あり;花梗は細長い【ヤマキツネノボタン】(北ー九;山間湿地)◇全体無毛【キツネノボタンv】(北ー奄;低湿地・田畔)
◆J茎は立毛を密生;果の花柱は先のみ少し曲る【ケキツネノボタン】(本ー奄;低地の湿地)
◆H茎は伏して節から苗ができる
◆I果群は少数の果がある;果長2.5mm;花柱は細長い;花弁長さ3.5-4mm【ツルキツネノボタン】(奥羽;亜高の湿地または水辺)
◆I果群は多数の果が密集;果長3.5-4mm;花柱の基部は三角に拡がる
◆J茎に開出毛を密生する;花弁長6.5-8mm【シマキツネノボタン】(中国、四九、諸島;湿地)
◆J茎に斜立毛がある;花弁長4-6mm【ハイキツネノボタン;ヤマのf】(本)
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参考検索1992『キンポウゲ科キンポウゲ属』
◆4.痩果はやや平たく長さ2.5-4mm、時に縁は扁平となり、縁どりがある
◆5.地上の走出枝を出す。花は径15-22mm、花弁は倒卵形、萼片は花時に反り返らない【ハイキンポウゲ】
◆5.地上の走出枝を出さない。花は径6-12mm、花弁は狭倒卵形、萼片は花時に反り返る
◆6.果床は6-10mm、集果は楕円形または長楕円形。葉裂片は細い【コキツネノボタン】
◆6.果床は長さ1-5mm、集果は球形
◆7.痩果は上部の縁だけが扁平となるかまたは扁平とならない。花柱は細い。茎には斜上毛があるかまたは毛が少ない
◆8.痩果は多く、上部の縁は扁平となり、花柱はやや細く先はひどく曲がる【キツネノボタン】(【ハイキツネノボタン】この位置となるY)
◆8.痩果は少なく、縁は扁平でなく、花柱は細く先は少し曲がる。茎は花後たおれて節から新苗ができる【ツルキツネノボタン】(青森・岩手)
◆7.痩果はまわりが扁平となり、縁どりがある。花柱は太く、3角形で先は少し曲がる。茎には開出毛が多い
◆8.茎は這い、節から新苗ができる。葉裂片は倒卵形、鈍頭【シマキツネノボタン】
◆8.茎は直立する
◆9.葉は1-2回3出、小葉の終裂片は倒卵形または長楕円形、鈍頭【ケキツネノボタン】
◆9.葉は2回3出、小葉の終裂片はくさび形倒被針形【オトコゼリ】
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参考検索1983『キンポウゲ科キンポウゲ属』
◆D痩果はやや扁平、しばしば辺縁に近く不明の稜があり、長さ3-4mm;根葉は3出複生し、小葉は無柄または有柄である
◆E花は大形、径15-22mm;花弁は倒卵円形、萼片は花時に反曲しない;地上にも葡枝がある【ハイキンポウゲ】
◆E花は小形、径6-12mm;花弁は狭倒卵形、萼片は花時に反曲する;地上に葡枝がない
◆F果托は伸長し、長さ6-10mm;集果は楕円形または長楕円形;葉の裂片は細い【コキツネノボタン】
◆F果托はほとんど伸長せず、長さ1-5mm;楕円形または倒卵形;集果は球形をなす
◆G茎はやや匍匐;花は葉に対生し、長さ1-5cmの梗あり、単生し、苞がない;葉の裂片は幅が広い【シマキツネノボタン】
◆G茎は直立、稀にややはう;花は茎の上部にやや集散状円錐花序をなす
◆H花柱はやや細く、先端が明らかに外曲する;痩果は上縁付近のみに不明の稜があるか、または稜がない;小葉の終裂片は通常卵形
◆I痩果はやや数が多く、上縁の付近に稜がある;花柱は著しく外曲する【キツネノボタン】
◆I痩果はやや数が少なく、上縁の付近に稜がない;花柱は細く、少し外曲する;茎は倒伏伸長し、根を発する【ツルキツネノボタン】
◆H花柱はやや太く、短く、ほとんど外曲しない;痩果は上下の両縁に近く不明の稜がある;小葉の終裂片は卵形または楔状被針形、やや毛が多い
◆I葉は1回3出、小葉の終裂片は楔状倒被針形【ケキツネノボタン】
◆I葉は2回3出、小葉の終裂片は楔状倒被針形【オトコゼリ】
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