HPtop   図検索top zukensaku005


頁概要: 検索表 学名 比較図 葉の厚み・熟期DATA 1.イガオナモミ拡大図 2.中間形拡大図 3.オオオナモミA拡大図 4.オオオナモミB拡大図 考察 参考文献


本頁の検索表は、新たな知見を加えて2011/11/11に「オナモミ属図入り検索表」を掲載したため、参考にのみしていただきたい。

《オナモミ属 Xanthium 検索表》(08/11/3)
A葉は被針形で、基部に3分枝した刺がある【トゲオナモミ】

A葉は葉身広く、基部に刺はない
 ◆B果苞の刺はややまばらで短く1-2mm;果苞は8-14(18)mm
  ◇果苞には立毛多く腺毛が少数混じり、光沢がない
  ◇葉は卵状3角形、3(-5)裂、鋸歯は尖る;果苞は少なく離れてつく【オナモミ】

 ◆B果苞の刺はやや多数(稀にややまばらで少数)あり3-4(6)mm;果苞は標準で18-20(15-25・18-21)mm
  ◇果苞には腺毛と細毛が散在し、光沢がある、鱗状毛は極稀〜やや少数散在するものまで変化がある
  ◇葉身は長さが巾より長い傾向で、3-5裂、鋸歯は粗くやや浅い(果苞は多く隣接してつく)【オオオナモミ】

 ◆B果苞の刺はやや密生し4-5mm;果苞は標準で19-22mm
  ◇果苞には腺毛と細毛と鱗状毛が散在する
  ◇葉身は長さと巾が同長傾向で、多くは3裂、鋸歯はやや浅い【イガオナモミとオオオナモミの中間形】
(みた瞬間に中間形では?と感じた最初の注目点は葉の形で、次に果胞の形状であった)

 ◆B果苞の刺は密生し(3)4-7mm;果苞は標準で24-27mm(17-30)mm
  ◇果苞には腺毛と鱗状毛と細毛がやや多数あり
  ◇葉身は長さと巾が同長か巾が広い傾向で、多くは3裂、鋸歯は浅く葉は厚い【イガオナモミ】
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
参考検索2003『オナモミ属』
◆A.葉の付け根に刺はない。葉は心臓形で,裏面は白色を帯びない。
◆B.葉の鋸歯は細かい。いが(成熟した雌総苞)の表面や嘴,鉤状の刺に鱗状毛が多い【イガオナモミ】
◆B.葉の鋸歯は粗い。いがの表面や嘴,鉤状の刺に鱗状毛がない。
◆C.いがは鉤状の刺や嘴を含め長さ15-25mm,褐色に成熟【オオオナモミ】
◆C.いがは長さ9-18mm,黄緑色〜灰褐色に成熟【オナモミ】
◆A.葉の付け根に3分枝した長さ15-25mmの刺がある。葉は披針形で,裏面は白色を帯びる【トゲオナモミ】
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
参考検索2001『オナモミ属』
◆A.葉の付け根に長さ15〜21mmの1本の刺がある.葉の下面は白色を帯びる.葉は心脚でない【トゲオナモミ】
◆A.葉の付け根に刺はない.葉の下面は白色を帯びない.葉は心脚
◆B.果苞は長さ17〜30mmで,先端の刺は長さ3〜6mm,刺に鱗片状の毛が多い.葉の鋸歯は細かい【イガオナモミ】
◆B.果苞は長さ12〜l1mmで,先端に長さ2〜3mmの刺がある,刺に鱗片状の毛がない.葉の鋸歯は粗い
◆C.果苞は長さ18〜21mm.褐色に熟す,先端の刺は長さ1〜6mm【オオオナモミ】
◆C.果苞は長さ8〜14mm.黄緑色〜灰褐色に熟す,先端の刺は長さ1〜2mm【オナモミ】
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
参考検索1981『オナモミ属』
◆A.葉は心形で,3-5浅裂。葉腋に刺はない。いが(成熟した雌総苞)に2個の嘴がある。
◆B.いがの面や嘴,かぎ状の刺に鱗片状の毛はない。
◆C.いがはかぎ状の刺や嘴を含めて,長さ9-18mm,幅6-12mm【オナモミ】
◆C.いがはかぎ状の刺や嘴を含めて,長さ20-25m,幅10-18mm【オオオナモミ】
◆B.いがの面や嘴,かぎ状の刺に鱗片状の毛がある。いがはかぎ状の刺や嘴を含めて,長さ20-30mm,幅12-22mm【イガオナモミ】
◆A.葉は基部に3個の刺があり,両端がとがる。成熟したいがには嘴はないか,または小さいのが1-2個ある【トゲオナモミ】
――――――――――――――――――――――――――――――――――― 頁top


学名》(大場2001に従った)
オナモミ   Xanthium strumarium L. var. japonicum (Widder) H.Hara
オオオナモミ Xanthium conadense L.
イガオナモミ Xanthium italicum Moretti
トゲオナモミ Xanthium spinosum L.

果苞比較図
イガオナモミ・オオオナモミ・中間形の果実

拡大 左から 1.イガオナモミ    2.中間形       3.オオオナモミA       4.オオオナモミB
イガオナモミ果実拡大イガオナモミとオオオナモミの中間形の果実拡大オオオナモミ果実拡大1オオオナモミ果実拡大2

左から、1.イガオナモミ    2.中間形          3.オオオナモミA
イガオナモミイガオナモミとオオオナモミの中間形オオオナモミ








イガオナモミイガオナモミとオオオナモミの中間形オオオナモミ

葉表 左から、1.イガオナモミ   2.中間形      3.オオオナモミA      4.オオオナモミB
イガオナモミ葉イガオナモミとオオオナモミの中間形の葉オオオナモミ葉オオオナモミ葉
      (葉は各個体の上部の葉である) 頁top


葉の厚みDATA
 今回の各タイプの葉の厚みを調べ以下の結果を得た。
(紙の厚さを測るマイクロゲージで測定、画像の中での大きな葉3枚を対象に、頂部の縁、側部縁の葉脈の少ない場所、2箇所で計側)

◇イガオナモミ 頂部厚さ 0.39mm 0.39mm 0.40mm、 側部厚さ 0.38mm 0.40mm 0.37mm、
◇中間形    頂部厚さ 0.22mm 0.23mm 0.23mm、 側部厚さ 0.23mm 0.24mm 0.21mm、
◇オオオナモミA 頂部厚さ 0.17mm 0.17mm 0.20mm、 側部厚さ 0.17mm 0.18mm 0.20mm、
◇オオオナモミB 頂部厚さ 0.15mm 0.17mm 0.17mm、 側部厚さ 0.15mm 0.14mm 0.14mm、

《果苞の熟期DATA》
        ◇08/10/4日調査   ◇08/10/17日調査          ◇08/11/1日調査
◆イガオナモミ ◇褐色のもの 5%   ◇濃褐色のもの30%、淡褐色のもの70% ◇濃褐色のもの100%
◆中間形    ◇全部緑色、柔果あり ◇淡褐色のもの15%、緑色のもの85%   ◇濃褐色のもの40%、淡褐色55%、緑色 5%
◆オオオナモミA ◇全部緑色、柔果あり ◇全部緑色             ◇濃褐色のもの10%、淡褐色70%、緑色20%
◆オオオナモミB ◇全部緑色、柔果あり ◇全部緑色             ◇濃褐色のもの05%、淡褐色55%、緑色40%

――――――――――――――――――――――――――――――――――― 頁top

以下にそれぞれの拡大図を置く 1.イガオナモミ拡大図  2.中間形拡大図  3.オオオナモミA拡大図  4.オオオナモミB拡大図

 1.イガオナモミ 上から 果苞 全景 葉表 葉裏 果苞部分拡大

イガオナモミ以上1.イガオナモミ 頁top

 2.中間形 上から 果実 全景 葉表 葉裏 果実部分拡大
イガオナモミとオオオナモミの中間形以上2.中間形 頁top

 3.オオオナモミA 上から 果実 全景 葉表 葉裏 果実部分拡大
オオオナモミ以上3.オオオナモミA 頁top

 4.オオオナモミB 上から 葉表 葉裏 果実部分拡大
オオオナモミ以上4.オオオナモミB 頁top

戻る→ 1.イガオナモミ拡大図  2.中間形拡大図  3.オオオナモミA拡大図  4.オオオナモミB拡大図


考察
 以上の結果から、葉の切込や鋸歯や葉の厚さ、果苞の大きさ、刺の密度、鱗状毛の量、熟期など、いずれもイガオナモミとオオオナモミの間は連続する様にも思われる。一方通常のオオオナモミより刺がまばらでオナモミにより近い個体も存在するようで(岩槻2008)、長田1976ではオナモミとオオオナモミとの間での交雑を示唆しており、オナモミにも幾つかのタイプが存在するらしく(長田1976、植村2008、帰化写真図鑑2001)、オナモミ・オオオナモミ・イガオナモミの間が連続してしまう可能性もあり、今後のオナモミ属の更なる研究を待ちたい。

 筆者はまだオナモミをみていないが、現時点では「イガオナモミ」と「中間形」は、他のタイプとは区別可能と考えられるのでこれを区別して認識し、オオオナモミは変化が大きい種類と考え、新たな知見がみつかるまでは、オオオナモミA、オオオナモミB、岩槻2008でのような刺の少ないタイプ、これらは「オオオナモミ」の変化範囲として扱っておくのが妥当であろう。

 この項を記すにあたり、帰化植物メーリングリストの各位にお礼申し上げます。
(08/11/3;山口純一)

参考文献
北村四郎 1981.キク科.日本の野生植物 草本V合弁花類,pp.156-235.平凡社.
大場達之 2001.キク科 オナモミ属.神奈川県植物誌調査会編,神奈川県植物誌2001,pp.1316-1318.神奈川県立生命の星・地球博物館.
大場達之 2003.キク科 オナモミ属.千葉県史料研究財団編,千葉県の自然誌 別編4 千葉県植物誌,pp.564-565,573.千葉県.
長田武正 1997.原色日本帰化植物図鑑,425pp.保育社.
清水矩宏 森田弘彦 廣田伸七 2001.日本帰化植物写真図鑑,554pp.全国農村教育協会.
高橋秀男 2003.キク科 オナモミ属.日本の帰化植物,p.207.平凡社.

《参考メーリングリスト》
井本郁子 2002.[naturplant:62] Re:Meibo no tsuika .帰化植物メーリングリスト.
井本郁子 2008.[naturplant:3811] Re: 中間形のオオオナモミ. 帰化植物メーリングリスト.
岩槻秀明 2008.[naturplant:3823] Re: 中間形のオオオナモミ. 帰化植物メーリングリスト.
植村修二 2002.[naturplant:59] On Xanthium species .帰化植物メーリングリスト.
植村修二 2008.[naturplant:3821] Re: 中間形のオオオナモミ. 帰化植物メーリングリスト.
梅原徹 2002.[naturplant:17] Differention of Xanth .帰化植物メーリングリスト.
梅原徹 2008.[naturplant:3809] Re: 中間形のオオオナモミ. 帰化植物メーリングリスト.
山口純一 2008.[naturplant:3822] Re: 中間形のオオオナモミ. 帰化植物メーリングリスト.
山口純一 2008.[naturplant:3826] Re: 中間形のオオオナモミ. 帰化植物メーリングリスト.


頁top syokubutu kensaku