〔新帰化植物 シラホシムグラ〕(2009/4/13-2009/4/16改訂;分布情報追加09/7/21)   トピック目次   HPtop   topic17 

アカネ科ヤエムグラ属 シラホシムグラ
Galium aparine L.
シラホシムグラ Galium aparineシラホシムグラの茎の毛
(大阪府堺市美原区産シラホシムグラとヤエムグラ 植村修二氏撮影) (種名は別途筆者が書き込んだ)

◇2004年、ヨーロッパ原産の Galium aparine L. が、神奈川、静岡、香川、兵庫などで確認され、すでに日本各地に帰化している可能性が高いと報告され、植村修二氏により同定されシラホシムグラと新称された(帰化写真ニュース4)。また、千葉県江戸川流域各地にも多産していることが報告され、最も古い記録では1990年の標本が確認され、18年前にすでに侵入していたことがわかった(千葉県植物誌資料24)。

 このような状況から、筆者は東京都での発見もいずれあるはずと興味を持っていたところ、植村修二氏よりシラホシムグラの特徴を良く現す画像(上記)をお送りいただいた。ちょうどシラホシムグラとヤエムグラが並んで花をつけ、特徴的なシラホシムグラの節部の密毛もわかり、両者を見比べるには大変良い教材であり、同好の皆様のシラホシムグラ発見のお役に立つものと確信し、植村氏のご承諾を得て掲載する。

◇シラホシムグラの特徴(帰化植物メーリングリスト植村氏コメントより抜粋要約)
・シラホシムグラは節のすぐ上の部分に白い毛が集中して生える。
・花が白いこと(ヤエムグラは黄緑色でちょっとシラホシムグラより小さめ)。
・ヤエムグラに比べて葉が短く、何となく間延びしたように感じる。
・シラホシムグラには今開花するタイプ(4/7)と、5月下旬〜6月にかけて開花し始める遅咲き系統もあり、こちらの葉は間延びした感じを受けない。
・寒さの残る今の時期(4/7)、ヤエムグラは紫色を帯びている個体が結構見受けられるが、シラホシムグラは鮮やかな緑色。

(関東の江戸川流域産では、シラホシムグラも紫色を帯びる個体が殆どで、ヤエムグラに全草緑色のものが見られる。シラホシムグラには鮮緑色のタイプと複数系統があるのかも知れない。植物体の色は環境や土壌により変化がある可能性もあり、更に今後の調査が必要であろう)

◇花のない時期のシラホシムグラ発見のコツは、茎の節部の毛叢が一番の着目点。
・植物体はヤエムグラより大きい感じをうけるものが多い(節間が比較的長く、植村氏が述べられた間延びした感じのためか?;下記葉と節間の比率参照)
・植物体を上から見る(横からでは節上部の毛叢が解りにくい)
・節上部がぼんやり白く感じ、葉の付根がはっきり見えない(ヤエムグラはこの部分が無毛のため、葉の付根がはっきりしている)
・節の毛は日に当たると白く光る
・上部1〜2段目の節より、3段目以下の節の方が毛叢が多いと感じる

 この項を掲載するにあたり、シラホシムグラについて多くのご教示をいただき、本頁の掲載を快くご承諾いただいた植村修二氏(近畿植物同好会)に、厚く御礼申し上げます。(2009/4/13;山口純一)

参考文献
木村陽子・小土井智行 2008.シラホシムグラ(アカネ科)が、千葉県江戸川流域に多産.千葉県植物誌資料 24:230-232.千葉県植物誌資料編集同人.
植村修二 2009.[naturplant:4080] Re: ヤエムグラ属検索表. 帰化植物メーリングリスト.
植村修二・水田光雄・藤平明 2004.日本に帰化したシラホシムグラ(新称).帰化植物写真ニュース 4:1.全農協・日本帰化植物友の会事務局.

《葉の長さと節間の長さの比率》(ランダムに採集した少数標本を検証した)<上から第3節の最も長い葉長:第3節の節間の長さ(比率)>
シラホシムグラ    ◆30:70(2.33)、◆28:72(2.57)、◆15:39(2.60)、◆16:42(2.63)、◆25:68(2.72)、◆17:50(2.94)、
ヤエムグラ  ◆18:34(1.89)、◆21:52(2.48)、             ◆23:61(2.65)、


◇筆者の知りえた本種の分布(追記09/10/10現在);
千葉県、神奈川県、静岡県、大阪府、兵庫県、香川県。その後、埼玉県(2009/4/15)・東京都(2009/4/26)で筆者確認。新潟県(2009/5)木村彰氏確認。福岡県(2009/5/16)中村功氏確認。和歌山県(2002/4/25撮影)金岡晃司氏確認。宮城県(2009/07/20)小土井智行氏確認。京都府(2009/6)渡邉健也氏確認。

◇東京都では上記江戸川流域に続いて、多摩川流域の世田谷区で2010/4/18に生育を筆者確認した。

中村功氏は本種の花の生態的研究などもなされHP掲載されておられます。シラホシムグラ(新称) 本種が自花受粉も行うことや、訪花昆虫の様子なども捉えられ、大変優れた内容です。

尚、シラホシムグラの分布全容はまだ解明されておらず、新たな生育情報がございましたら是非お知らせいただきたく存じます。

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