《植物詳細図シリーズ》 イブキトボシガラ Festuca parvigluma var.breviaristata Ohwi 植物詳細図top HPtop イネ科top zusyousai002
特徴的な部位の部分図 (採:07/6/10 高知県高岡郡) 解説
《形態学用語その他の略語は長田1993に順じた》(ABC順)
A: Anther(葯)
Base of branch in the under(最下の花序の枝の基部)
CS: Callus(小花の基盤)
Fl: Floret seen from lemma side(護穎側からみた小花)
FL: Flower(floret removed all bract (花;小花から護穎と内穎を除いたもの)
G1: First(lower)glume(第一苞穎;下苞穎)
G2: Second(upper)glume(第二苞穎;上苞穎)
GR: Grain(caryopsis(果実;穎果)
INF: A part of inflorescence(花序の一部)
L: Lemma(護穎)
LI :Ligule(葉舌)
LO: Lodicule(りん皮)
MO: Mouth of leaf-sheath(葉鞘口部)
Ovary(子房)
P: Palea(内穎)
Panicle(円錐花序)
PD: Pedicel(小穂の柄)
PI: Pistil(雌しべ)
S: Spikelet(小穂)
Stigma(柱頭)
Style(花柱)
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イブキトボシガラ Festuca parvigluma var.breviaristata Ohwi
本種はイネ科ウシノケグサ属 Festucaで、トボシガラ Festuca parvigluma Steud. の護穎に芒のない一形である。本検索サイトでの属タイプ「6G型」となり、
【構成多小花;2〜14小花+苞穎(小穂より短)】で、小穂略記は[2〜14小花+短苞]である。
《各部分の形態》
◇第一苞穎の長さ1.3〜1.5mm。(図G1)第二苞穎の長さ2.2〜2.6mm(図G2)。護穎の長さ5.5〜5.7mm、5脈(図L)。
◇鱗被は膜質で長さ0.7mmほど(図LO)。雄しべ3個。葯の長さ0.6〜0.9mm(図A)。
◇小花の基盤は無毛(図CS)。小軸突起がある。
◇頴果の長さ3mm(図GR)、新鮮な時期では頂部に2本の花柱が残っている(図Style)、子房の頂部は有毛(図Ovary)。
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◆トボシガラの各図鑑の表記と比べると、採集品は苞穎や葯が若干大きなサイズとなったが、範囲の内であろう。
又、通常トボシガラは葉表に長毛が多くて目立つのが普通だが、今回採集したイブキトボシガラの葉表は一見無毛であり、顕鏡すると極微毛がやや多数あることが確認できた。しかし安定した特徴であるのかはもっと多くの個体観察が必要である。
トボシガラとは芒の有無にて区別は簡単だが、芒のないヤマトボシガラとの区別を、Oは花序枝の2本(ヤマトボシガラ)と1本(本種)で区別できるとしている。筆者はヤマトボシガラを未見だが、葉表には微毛が密生するとされているので、本種との識別に葉表の毛は有効かも知れない。
高知県にて、足元に生育していた本種を小林史郎氏から教わりました。検索表には載せておりましたが、それまで全く認識しておらずにいましたが、厚くお礼申し上げます。(07/6/28 山口純一)
《主な参考文献》
長田武正 1993.増補 日本イネ科植物図譜,776pp.平凡社.
杉本順一 1973.日本草本植物総検索誌U単子葉編,630pp.井上書店.
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