小穂に艶のあるイヌビエ属  トピック目次   HPtop   イネ科top   topic029

 2006年に小穂の第1小花の護穎(第3頴)が膨出して艶が目だつ,みなれないイヌビエ属植物に気付いた。第1小花の護穎が膨出して艶のあるものでは,湿地生のタイヌビエ,ヒメタイヌビエなどが知られるが,本種は市街地や少し乾いた場所でヒメイヌビエなどと共に生育し,生育環境が全く異なっている。最初に気付いたのは7月だったが採集はしておらず,その後10月8日に初採,10月18日に2回目の採集と,それぞれ異なる場所でたてつづけにであい,かなり広まっているのではないかと感じた。
 小穂の色が緑色の場合が多いヒメイヌビエとは,小穂がやや黒味を帯びて小穂の大きさも異なり,遠目でも紛れることはない。葉の縁の白硬化部はヒメイヌビエ同様に全くみられない。小穂がやや黒味を帯びる点はイヌビエにも見られるので,イヌビエとの区別点は第1小花の護穎の形質となる。
 興味のある方は,是非お探しいただきたい。見つけ方は簡単で,市街地のやや乾いたごく普通の環境で,小穂の黒っぽいイヌビエ属があったら小穂をつまんで,短い頴側の次の頴(第1小花の護穎)が膨れて光っているかどうかである。
 本植物がイヌビエの変化範囲になるのか別の分類群となるのかは,ご専門の先生方のご研究を待たねばならないが,従来このような性質のイヌビエ属は見聞きしていないので,帰化の可能性もあると考えている。 (2006/10/20初稿,2012/11/28改変再掲 山口純一)

(Pdfファイル→小穂に艶のあるイヌビエ属.pdf)

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